お盆休みの方も多く、例年であれば県外からの見学者が増える頃ですが、今年の観測所は少し静かです。観測所内は、緑が深く、その向こうに20mアンテナが白くそびえ立つ姿をご覧いただけます。ただ20mアンテナは真上を向いて止まっており、「アンテナもお盆休みかな?」なんて声も聞こえてきそうです。
ただ実際は、バックヤードで多くの職員が作業をしています。今回は、その作業の一つをご紹介しましょう。アンテナ制御用コンピューターの保守作業です。
国内4ヶ所にあるVERA20m電波望遠鏡は、基本、各地にある観測棟に設置されたコンピューターから制御されています。アンテナの向き、受信機(周波数など)の切り替え、強度の調整、また観測スケジュールや記録装置の選択など、さまざまな状態を制御用コンピューターが実行しています。同時に望遠鏡の姿勢や機器の温度などの状態もモニターしています。もし異常があれば、これらのコンピューターが察知して、運用担当者に知らせてくれます。また大量に生成される観測データのハードディスクへの保存などの連携も担っています。
各地の制御用コンピューターは、水沢のAOC(Array Operation Center)室とインターネットを経由して接続されています。国内4ヶ所のアンテナ全てを水沢から動かせるのです。AOC室には各地のアンテナの状態を確認し操作できるコンピューターと、それら4台を一括してコントロールするコンピューターの計5台のコンピューターが中心となっています。また各地の天候や防犯カメラのモニターを果たすコンピューターなど、それぞれの役割毎に導入され、コンピューターの負担が高く停止してしまうことが無いように組み上げられています。
ちなみに国内4ヶ所のアンテナを制御しデータを記録するまでに使用するコンピューターは全て含めると48台となります。このうち、どれか1つが停止してもVERAの観測はできなくなるため、今回のようなコンピューターの保守はとても大切な作業です。
各地で得られたデータはハードディスクなどに書き込まれ、送られて水沢の相関器室にやってきます。ここで時刻の照合などを行い、相関処理と呼ばれる作業で、1つの天体の、1回の観測データとしてまとめられます。この作業が行われて初めて、観測が終了したとも言えることになるのです。
普段、観測棟の中やAOC室、相関器室は非公開で、皆さんにご覧頂くことはできません。例年は、「いわて銀河フェスタ」でご覧いただけるのですが、今年は中止となってしまいました。また来年以降、皆さんにご覧いただける機会を作りたいと思いますので、その際はぜひお越しください。
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