新メーザー天体発見!!「第3回Z星研究調査隊」報告

国立天文台水沢キャンパス(水沢VLBI観測所)では、今年も8月の東北の短い夏の間に「Z星研究調査隊」が行われました。Z星研究調査隊は、国立天文台と岩手県高等学校文化連盟自然科学専門部、NPO法人イーハトーブ宇宙実践センターが共同で、高校生を対象に行っている電波望遠鏡を用いた観測研究体験です。今回で第3回目になる今年は、2009年8月5日(水)~7日(金)にかけて2泊3日で行いました。このイベントは、岩手県内の高校生に水沢VLBI観測所のVERA20mアンテナを用いた天文観測を行ってもらい、天文学観測研究を実際に体験してもらおうと言うもので、新しいメーザー天体の発見に向けて高校生自ら観測天体を選択し22GHz帯での水メーザー天体の探査を行っていきます。

募集には県内各校から14名の応募がありましたが、参加の意気込みについて書いて頂いた作文をもとに参加者を選考し、計10名(水沢高校・盛岡第一高校・釜石高校・宮古水産高校)の高校生に参加してもらう事になりました。参加者は3グループに分かれ、天文台のチューターの説明・アドバイスを受けながらメーザー天体の探査計画を立て交代で観測を行い、データ解析、さら結果について検討をして各グループごとにまとめて発表してもらいました。

今回観測は水沢局の分光計トラブル等もあり、VERAAOC室から石垣島局・小笠原局をリモートで操作して行いました。石垣島で行われている同様の高校生観測研究体験「美(ちゅ)ら星研究体験隊」では、既に数天体での新メーザーの発見があるのに、これまで過去2回のZ星研究調査隊ではメーザーの新発見はありませんでした。我々としても今年こそはと期待していたのですが、今回Z星研究調査隊としては初めて、しかも3つもの天体でメーザーを新たに発見する事に成功しました。また、この他に1天体のメーザーの可能性のある天体を見つけていましたが、後日一部の高校生にも参加してもらい行った追観測では残念ながら検出できませんでした。この3つのメーザー天体発見の成果に、地元の新聞社・テレビ局の取材もあり、高校生もインタビューを受けて各新聞やテレビでも報道されました。今回、ようやくZ星研究調査隊でもメーザー発見にこぎ着けましたが、来年も更なる発見を目指して行きたいと考えています。

「国立天文台ニュ-ス No.196より転載」<水沢VLBI観測所 宮崎 敦史>

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