VERAプロジェクト前倒し終了および今後のアンテナの運用停止見込みについて


日本天文学会のみなさま
VLBI懇談会のみなさま
宇電懇のみなさま








***  VERAプロジェクト前倒し終了および今後のアンテナの運用停止見込みについて  ***

国立天文台水沢VLBI観測所長
本間 希樹


この度、国立天文台の執行部方針として

 i) 水沢VLBI観測所のVERAプロジェクトの今シーズン末(2020年6月)での前倒し終了
 ii) それに伴う当観測所予算の削減(昨年比で約5割減)

が3月26日付けで観測所宛てに正式に通知されましたので、コミュニティの皆様にもここにお知らせします。

当観測所としてはVERAの全4台のアンテナの2022年までの運用継続を目指しておりましたが、今回の決定により、今後数か月以内にアンテナ運用が停止する見込みです。詳細については現在当観測所にて緊急に運用計画を策定しておりますが、現段階で以下のような影響が出ると予想されますのでコミュニティの皆様にあらかじめお伝えします。


 1) 現在のVERAのアンテナ全4局の観測運用(VERAおよび、日韓VLBIと東アジアVLBIも含む)は現在の観測シーズン(2020年6月中旬まで)で終了する見込みです。
 2) 2020年7月以降は予算削減の影響でVERAの4局のアンテナのうち、水沢局以外の3局(入来、小笠原、石垣島局)の運用が停止する見込みです。
 3) 2020年7月以降の共同利用については、
  a) VERAの共同利用は廃止
  b) 日韓VLBI(KaVA)は現在の7局→4局へ削減して運用
  c) 東アジアVLBI(EAVN)は現在の最大11局→最大8局へ削減して運用
 となる見込みです。

今後の共同利用の方針や観測期間などについては詳しいことが決まり次第また改めて連絡いたします。

以上、コミュニティの皆様に多大なご迷惑をおかけすることをお詫び申し上げます。

なお、これまで国立天文台ではVERAの観測網運用を2022年3月まで継続する方針で運営してきており、当観測所でもこの間研究者コミュニティと協力してVERAを用いた研究を進めるとともに日韓や東アジアの観測網を整備して国際共同観測を進め、さらにはそのような国際協力を発展させて、2019年4月にはブラックホールの影の撮影成功にも貢献してきました。そのような中、昨年12月に突如大幅な予算削減の可能性が現執行部から観測所に提示されました。水沢VLBI観測所としては、従来方針とは異なる急激な予算削減とそれにともなう観測運用の停止はコミュニティへの影響が大きいのでできるだけ避けるよう執行部に申し入れを行ってきましたが、最終的にこのような決定となりました。

観測所としては今後、アンテナの共同運用パートナーや外部資金・寄付の獲得等により、今後も一台でも多くのアンテナの運用を続ける可能性について検討していく予定です。観測所だけでなく、研究コミュニティおよび国民の財産でもあるVERAの全4台の電波望遠鏡が今後も研究に有効に活用されることを引き続き目指していきますので、今後とも皆さまのご支援とご協力を賜ることができれば幸いです。

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