一橋大学社会科学古典資料センターの馬場幸栄助教は、国立天文台水沢に所蔵されるガラス乾板(写真)のデジタル化を行いました。実際に当観測所を訪れ、ご自身でガラス乾板から読み起す作業は、古いガラス乾板のため慎重な取り扱いが必要となり、大変なご負担を強いたものと思います。「国立天文台水沢収蔵資料から読み解く緯度観測所120周年」(JSPS科研費16K01159)と題して実施された研究活動からは、120年を越える当観測所の歴史が感じられます。臨時緯度観測所の事務所(現・木村榮記念館)や緯度観測所本館(現・奥州宇宙遊学館)、眼視天頂儀室、眼視天頂儀などの写真があります。第1回文化勲章を受章した木村榮(きむらひさし)のZ項発見に至る研究環境を垣間見る、大変貴重な資料となっています。
今回の研究調査を実施された馬場幸栄助教は、公開された画像の一枚を取り上げて、次のようにお話されています。「緯度観測所のガラス乾板は国立天文台水沢VLBI観測所の倉庫の隅で何十年ものあいだ眠っていましたが、1枚ずつ埃やカビを取り除き、デジタル技術で画像を復元した結果、当時の写真が鮮明によみがえりました。復元したこれらの乾板写真は、緯度観測所建造物4件を文化財登録する際にも歴史的証拠として大いに役立ちました。緯度観測所について学びたい、緯度観測所の歴史を次の世代へと語り継いでいきたいという方々に、これらの乾板写真をご活用いただければ幸いです。」
今回の研究活動について、本間所長は次のように述べています。「馬場さんたちのご尽力によってデジタルデータとして今回公開された写真は、緯度観測所時代の様子を現在に伝える大変貴重なものです。この写真を通じて、多くの方々に観測所の長い歴史を知っていただき、また併せて現在の観測所の活動への興味を深めていただければ幸いです。 」
皆様、ぜひご覧ください。
公開されたホームページはこちら → 木村榮記念館/ガラス乾板
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