You are here東アジア 惑星科学・探査 夏の学校 2016@武漢 参加報告― その1 ―

東アジア 惑星科学・探査 夏の学校 2016@武漢 参加報告― その1 ―


2016年6月6日から10日にかけて,中国の武漢市で「東アジア 惑星科学・探査 夏の学校 2016」が開かれました.これは日本と中国,韓国で惑星科学を学ぶ大学院生を集めて,最新の惑星科学を学びながら交流を深めるための企画です.今回から3回に分けて,夏の学校について報告します.

日本から参加した大学院生は6名です.その他に主催者として国立天文台RISE月惑星探査検討室の並木が,またオブザーバとして同じくRISEの松本と東京大学研究員の2名が参加しました.韓国からは7名の大学院生が,中国からは15名の大学院生が参加しました.とても活発な議論が行われて,学生間の交流も深まった,大変実りのある夏の学校になったと思います.(写真1)

『ほとんど』の学生と講師は6月5日の夕方までに会場の武漢キングダムホテルに到着し,最初の夕食会が開催されました.(残念なことに私自身は武漢国際空港で迷子になり,夕食会に間に合いませんでした.なのでその様子をお伝えすることができません.)

夏の学校の初日(6月6日)は午前8時30分から講義が始まりました.2016年のテーマは月科学です.講師はブラウン大学のジム・ヘッド教授とノートルダム大学のクライブ・ニール教授です.惑星地質学を専門とするヘッド教授はアポロ計画の開始当初から有人月面探査に関わってきた,いわば惑星科学の生き字引です.アメリカと旧ソビエト連邦の宇宙開発競争時代に遡って,月惑星探査の黎明期の興奮を流れるような語り口で話してくれました.ニール教授は岩石学を専門に研究されており,アポロが月から持ち帰ったサンプルの分析から月誕生の秘密が次第に解き明かされていった過程を分かりやすく,ジョークを混じえながら説明して下さいました.

ヘッド教授とニール教授の講義は2日目の夕方まで続き,月の誕生から,マグマオーシャンの形成,火山活動史,リモートセンシングによる鉱物分布,構造発達史,内部構造へと進みました.それぞれのテーマについて1時間ちょっとの講義の後には学生からの質問を受けましたが,毎回学生からの質問が相次いで,予定の30分を軽く超えるほど熱気にあふれていました.日本の学生も中国・韓国の学生もみんな臆すること無く質問を講師にぶつけて,二人の教授もたじたじになっていました.

3日目は午前中に惑星科学研究所のジアンヤン・リ教授がNASAのプラネタリーデータシステムの利用について説明した後,午後からは学生によるプレゼンテーションが行われました.実はこのプレゼンテーションのために,参加学生は初日に6つのグループに分けられ,グループリーダーを決めました.それぞれのグループには日本と韓国の学生がほぼ1人ずつと中国の学生が3人割り当てられました.与えられた発表課題は"「将来月探査の着陸地点」をグループディスカッションして提案すること"です.この課題に取り組むために,参加学生は講義の合間や昼食,夕食時間を使って初日から議論を重ねてきました.夕食後にテーブルに集まって,パソコンを片手に遅くまで議論しているグループが何組もいました.その甲斐あって,グループプレゼンテーションは盛況でした.また発表の後には中国地質大学武漢校の地質博物館の見学に行きました(写真2).

4-5日目は,夏の学校と併せて開催された国際月惑星科学シンポジウムの聴講です.中国の各地から集った研究者と米国,フランス,日本の研究者による白熱した議論は参加学生にも刺激になったと思います.日本から参加した学生1名も自身の研究を発表し,ニール教授を感心させていました.

今回,夏の学校は初めての試みでしたが,参加した学生には大変好評でした.また,講師のヘッド教授,ニール教授からは学生の熱意に大変感銘を受けたと言われました.非常に意義のある夏の学校になったと思います.日本メンバーの旅費・参加費を支援して頂いた日本学術振興会と自然科学研究機構に感謝いたします.来年は韓国の大田市で開催されます.今年と同じように,国際的な研究者を目指す学生の方々が集まってくださることを切に希望します.

学生プレゼンテーションが終わった3日目の夕食後に,日本から参加した学生の皆さんにインタビューをしました.次回から2回に分けて掲載しますので,学生諸君の熱い雰囲気を感じていただければ幸いです.(その2へ続く...)

(文責:並木則行)