You are here東アジア 惑星科学・探査 夏の学校 2016@武漢 参加報告 ― その3 学生インタビュー 後編 ―

東アジア 惑星科学・探査 夏の学校 2016@武漢 参加報告 ― その3 学生インタビュー 後編 ―


参加学生:深井稜汰,中西奈央,鏡味沙耶 (写真1)

聞き手:松本晃治

 

- 海外のサマースクールは初めてですか?

 

深井・鏡味: 初めてです.

中西: これまで中国で1回参加したことがあります.

 

- 参加前の不安はありましたか?中西さんは経験があるから不安は少なかったですか?

 

中西: いえ,一番不安だったと思います.前に来た時にお腹をこわしたので,衛生面の不安がありました.

深井: 月に関する専門知識がないので,学ぶという意味では楽しみでしたが,グループディスカッションへの参加に多少不安がありました.

鏡味: 楽しみと不安の両方がありました.不安の理由は,事前に内容があまり分からなかったことと,中西さんから衛生面についての話を聞いていたことです.でも,実際に来てみたら楽しかったです.

中西: 月は自分の専門分野ではないので,知らない分野の話を英語で聞くことに不安がありました.また,ウェブページの更新が必ずしも早くなくて,内容のアナウンスが直前までなされなかったので不安でした.

 

- アナウンスが遅いのは運営面の問題ですね.

 

- 講義の感想は?

 

深井: 集中講義形式で,思っていたよりも基礎的な話を時間をかけて説明してくれたという印象でした.もっと専門的な話がされるかと思っていました.サンプルや地形の基礎知識を説明してくれたので,もともと知らなかったことがクリアに分かりました.

 

- ヘッド教授は結構早口でしゃべる人ですが,英語の聞き取りに問題はありませんでしたか?

 

深井: 集中して聞くのは大変でしたが,意識して聞けば頭に入ってきました.

中西: 火山や鉱物など,月に関する広い分野の話を聞けたのが良かったです.普段,自分の研究分野に閉じたところにいるので,一つのテーマで幅広い話を聞くことができ,勉強になりました.

鏡味: 二人の先生が月のいろいろな面の話をしてくださったので,分かりやすかったです.英語が苦手なので,聞き取れない部分はスライドの文字に集中しました.直接聞きに行ったら優しく教えてくれたので,講義の合間の休み時間を利用して何回も質問しに行きました.

 

- グループディスカッションの感想は?

 

鏡味: グループディスカッション自体が初めて,テーマは専門外,しかも議論は英語,で初めはどうなることかと思いましたが,私の英語をみんながフォローしてくれてディスカッションすることができました.機会があればまたやってみたいです.

中西: 予定表では3日目の数時間がグループディスカッションに充てられていたので,全てそこで閉じると思っていたのですが,初日の説明で1・2日目の空き時間を使って3日目の発表の準備をするように言われてちょっと驚きました.実際にやってみると,共有する時間が長かった分お互いのことを話す時間もとれて結果的には良かったです.

深井: 初めての経験でした.コミュニケーションがとれた事はポジティブに捉えています.一方で,今回のテーマは月探査の着陸点選定でしたが,月が自分の専門でない場合は積極的に意見を言うのは難しいなと感じました.

 

- バックグラウンドの知識がない中で,講義を聞いただけで提案まで持っていくのは簡単ではなさそうですね.

 

中西: 私のグループには月を専門とする人が4人いて,議論が盛り上がりました.ついていくのは大変でしたが(笑).可能ならば,テーマに関する専門知識を持つ参加者がうまくバラけるようにグループ編成がなされると良いと思いました.

鏡味: 私もバックグラウンドの差は大きいと思いました.

 

- グループディスカッションのアウトプットには満足していますか?

 

中西: 議論が発散しているのが分かっていてもうまく修正できなかったです.月をやっている人とそうでない人,中国人とそうでない人で分かれる場面が多かった.ゴールをお互いに共有できていなかったのは反省点です.

 

- リーダーはどうやって決めたのですか?立候補?私は月に詳しいからやるよと手を挙げる人がいた?

 

深井: うちのリーダーは必ずしも議論や発表をリードするのではなく,ミーティングの時間や場所をアレンジする役だったので,冗談半分で決めました.

中西: 私の班は4人が女性,1人が男性でした.その男性にリーダーすごく似合っているよと言ってリーダーになってもらいました(笑).

鏡味: リーダーを決める集まりに来ていない人が一人いたのですが,その人は英語もうまく,月にも詳しく,リードしてくれそうだったので,みんなで彼がいいよねという意見でまとまりました.その後,本人もいいよと言ってくれたので決まりました.

 

- 実際に参加してみて発見はありましたか?

 

中西: 全体的に月を知ることができてよかった.ヘッド教授の探査の歴史の話は,実際にアポロ計画を経験した人の言葉で語られ,数か月ごとに打ち上げられたとか,今では考えられないようなその時代の勢いを感じることができました.

 

- 生き証人ですからね.私もその話が一番楽しかったです.

 

鏡味: もともと英語が苦手だと分かっていたのですが,基本的な単語さえ通じなくて筆談になったこともありました.コミュニケーション力を上げなければと痛感しました.

 

- この先,この経験が役に立ちそうですか?

 

深井: これまで,なんとなくためらいがあって海外の学会で質問したことはなかったのですが,これからは質問してもいいかなと思っています.

鏡味: 外国人は日本人よりフレンドリーだと分かりました.今後海外に行く機会があったら自分から積極的に友達を作ろうと思います.

中西: 違う分野にポンッと入ってみるのも良いなと思いました.連合大会で月のセッションに出て予習はしていたのですが,今回は短期間で月の知識が増え,興味も持てたので,ちょっとしたきっかけで専門外のサマースクールに参加するのも良いことだと思いました.

 

- 中国・韓国との文化の違いは感じましたか?

 

深井: 彼らは,日本の惑星科学の教授の数が多いことに驚いていました.韓国だと多くても3人で,日本は多いと.これは僕たちが日本と欧米を比べて感じていること.大学の環境の違いを感じました.

中西: 中国人の勢いはすごいと毎回思います.中国人同士で中国語の議論が始まると私と韓国人の学生は傍観者になってしまいました.

深井: 彼らは早口ですよね.

中西: そう,止められない.関連して,今後に役立てたいこととして,留学生等の外国人がいる場では日本人同士のコミュニケーションでも出来るだけ英語で話そうと思いました.

鏡味: 最初は彼らの勢いを持った言い方が責められているように感じられてつらかったです.実は普通にしゃべっていると気づいて慣れるまで少し時間がかかりました.

 

- ルームメイトはどうでしたか?

 

深井: 日本人でした.部屋割りの希望を出せと言われた時にちょっと不安だったので,そのように希望しました.部屋の情報があまりなかったので.

中西: アナウンスにはダブルベッドと書いてあったのですが,一つのダブルベッドを二人で使うのか,シングルがベッド二つあるのかが分からなくて問い合わせました.残念ながら返事がなく,ダブルベッドに知らない外国人と二人で寝るのは不安が大きいので日本人を希望しました.

深井: 特に今回は第一回目ということで,前例の情報もありませんでしたから.

 

- 他に運営面で改善してほしい点はありますか?

 

中西: 今回の「月」のように大きなテーマが決まっているのであれば,事前に早めに教えてほしいです.また,もっと学生に届くようなアナウンス方法を考えてほしい.私は指導教官から声掛けしてもらって存在を知りました.

 

- みなさん,惑星科学会のメーリングリストには入っていないのですね.

 

中西: 入っていません.

深井: 私は地球化学会のメーリングリストに入っています.

 

- 今後は配信するメーリングリストを拡大する方がよさそうですね.

 

- 次回以降サマースクールに参加するであろう後輩たちにメッセージをお願いします.

 

中西: ぜひ応募してほしい.参加すると決まったらテーマを予習して,楽しんでほしい.中国・韓国の学生もネイティブではなく英語のハードルは低いので,休憩や食事の時間を有効に使ってコミュニケーションを取ってほしい.

鏡味: これまで外国で一人になることはなかったのですが,今回のグループディスカッションでは日本語の通じない人の中に一人という状況に置かれました.これは,英語が苦手な人にとっては逆に成長できるチャンスです.ためらわずに,積極的に参加してください.

深井: テーマが一見分野外に見えても,必ずどこかで自分の研究とのつながりがあると思うのです.それを探すつもりで参加してほしいです.

 

- 広く知っているからこそ新しい研究や発見につながるのは惑星科学の醍醐味ですよね.

 

- 皆さん,運営に対する貴重な意見も含め,感想を語っていただき,どうもありがとうございました.