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サマースチューデントから感想文を頂きました


総研大/国立天文台では毎年大学学部生向けに「サマースチューデント(夏の体験研究)プログラム」を実施しています。先日修了した学生さんから感想文を頂きましたので以下に掲載します。

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サマースチューデント感想文

九州大学工学部機械航空工学科航空宇宙工学コース3年

松下悠里  

 私は2017年の8月16日から8月31日まで、総研大のサマーステューデントとして研究をさせていただきました。並木先生、野田先生をはじめとするRISE月惑星探査検討室の皆様、またデータと解析ツールを提供していただいた国立天文台ハワイ観測所の寺居剛様、千葉工業大学惑星探査研究センター・神戸大学大学院理学研究科の吉田二美様には大変お世話になりました。私の行った研究は、すばる望遠鏡のHyper Suprime-Camのデータを用いて、小惑星を2つのタイプに分類するというものです。これは小惑星のサイズ分布を求めるために必要不可欠な過程です。

 私が総研大のサマーステューデントプログラムに応募した理由は、将来、天文学と宇宙工学の橋渡しができる研究者になりたいからです。私は高校生の頃、部活動で天文学の研究を行っていました。国立の研究機関で行われている研究レベルと比較すると全く低いものですが、高校生なりに解析や考察を行って発表することが大変面白く、研究者という職業に憧れを抱きました。大学では、天文学の謎を解明するための衛星の勉強をしたいと思い、現在大学では航空宇宙工学を専攻しています。宇宙開発のミッションは、天文学と宇宙工学の協力があって初めて成功しますが、その両者を理解し、ミッションを成功へ導ける研究者になりたいと私は思っています。そのためには、天文学の知識をより深めること、国立の研究機関ではどのように研究が進められているのかについて、また理学と工学の違いについて知ることが必要だと考え、応募しました。

 

 

 

 国立天文台での研究は、思い描いていた通りとは言い難いものでした。私は研究で用いられている解析方法の精度に疑問を持ち、調べてみたいと思いました。先生方に相談したところ、「サイエンス(理学)の論理とは全く関係ないのではないか」という助言をある先生からいただきました。天文学素人の浅はかな考えではありますが、この疑問を私は大切にしたいと思い、わがままを言ってそのテーマについても研究させていただけることになりました。具体的には、小惑星の等級を測るために背景天体の有無を目視で確認しなければならないのですが、そこに定量的な指標を導入できないかというものです。結果は、その指標は目視と7,8割の精度で合致していましたが、目視で行っていたものを定量的な指標に100%置き換えてしまうことは難しいというものになりました。

 私はこのサマーステューデントプログラムで様々なことを学びました。天文学、特に「はやぶさ」など宇宙工学とコラボレーションする機会の多い惑星科学に関する知識はもちろん、国立研究機関での研究の進め方を知ることができました。また何より、「論理」をとても大切にする理学、「客観性」や「精度」を特に大切にする工学という理学・工学の両者の違いと特長を肌で感じることができました。理学と工学でどちらが優れている、どちらが劣っているというものは全くありません。どちらも素晴らしい学問です。だからこそ、同じ「宇宙」というフィールドで仕事をする上で、両者の違いを理解することはとても大切なことだと思います。

 最後に、考えたことを頭の中でまとめて言葉に出すのが苦手な私の話をいつも丁寧に聞いてくださり、本筋の研究だけでなく、研究の「私らしさ」として私のわがままな小さな研究テーマにもたくさんの助言をしていただいた並木先生、悔しくて涙を飲む日もありましたが、そのようなときいつも体調を心配してくださり、フォローしてくださった野田先生をはじめとするRISE月惑星探査室の皆様に感謝申し上げます。将来の具体的な進路についてはまだ模索中ですが、天文学と宇宙工学の橋渡しができる研究者となれるよう、九州で精進してまいりたいと思います。

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