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中国訪問記:月惑星地震学フォーラムと旧友との再会


 年が明けてすぐの1/8、春節前で少し浮き足立っている中国に行ってきました。北京国家宇宙科学センターで開催された月惑星地震フォーラムに招かれ、初めての中国訪問となりました。

 

 

 フォーラムには欧米亜から30人程度の月惑星地震学者が集まり(日本からは2名が参加)、研究成果や将来の探査について議論が白熱しました。月惑星地震、と一口に言ってもその切り口は様々です。月や火星のように地球と同じように地震計を地面に置いて地震を研究している人、地上の望遠鏡を使って木星や海王星の大気の揺らぎによる明るさの変化から地震を観測しようとしている人、はたまた月の地震計を使ってアインシュタインの相対性理論で予測された重力波を検出しようとしている人、様々な発表があり、近年のこの分野の盛り上がりを実感しました。

 月の発表ではアポロ着陸から今日に至るまで、アポロの地震データを用いて行われた研究の最新の成果が発表されました。今でも近年の計算機の発達や解析手法の進展に合わせてアポロのデータを再解析しようという試みは続けられており、新しい発見を生み続けています。火星については2018年度に打ち上げ予定のNASA InSightの観測に向けた議論が行われました。まだデータはないのですがすでにシミュレーションなどで火星ではどのような地震が起こっているか、火星内部の環境の違いがどのような地震として観測されるかなど活発な議論が行われました。それ以外の発表でも、欧州のPhilaeが彗星上で行った地震探査によって世界で初めて彗星表面の層構造を直接探査した結果や、理論的な研究から数十年経って初めて木星の振動の観測に成功した結果など、最新の結果も報告され非常に興味深い研究会となりました。

 月惑星地震学はかなりマイナーな分野でそれに絞った研究会というのはなかなかないのですが、このように世界中の研究者が集まり、内容の濃い議論の場に参加できたことを非常にうれしく思いました。同時にこれからも研究、探査を進めていきこの分野の発展に貢献したいという思いを強く持ちました。

 

 

 

 今回の中国訪問ではもう一つ、嬉しいことがありました。フランス留学中に同じ研究室で学び、その後中国に戻って武漢で教鞭をとっている友人が大学のセミナーに招待してくれたのです。武漢では2人の旧友に会ってきたのですがそのうち1人はRISEにも研究生として在籍していたことがあり、その時からの友人です。中国地質大学(China University of Geoscience)と華中科技大学(Huazhong University of Science and Technology)の2つの大学で惑星科学や地球物理を研究する方々の前で発表させていただきました。セミナーでは日本の惑星探査ミッションについて紹介し、意見交換を行いました。話が盛り上がり日本と中国の共同のミッションを実現するための戦略を議論しました(さすがに中国語で論文書いてみない?と聞かれた時は返答に困りましたが…)。道のりは長そうですがこうやって学生時代からの友人と将来探査について思いを巡らせるのは非常にはげみになります。今回の中国訪問では中国の月探査についても多くの話を聞くことができました。現在中国は嫦娥3号までを成功させ、すでに6号までの計画が進行中です。4号では過去に例のない月の裏側への着陸を目指しているようでついに世界でまだ誰も実現していない探査を目指し始めたということを強く感じました。

 初めての中国で武漢、北京と2つの都市を4日で巡るというかなり慌しい日程になりましたが現地の友人の助けもあり、非常に充実した滞在となりました。月惑星地震フォーラムについてはぜひ第2回をやろう、という話になりましたのでその時までに良い成果を出してまた参加できるよう頑張りたいと思います。

(文責 川村)