You are here国際氷天体ワークショップ「内部海を持つ氷天体の起源と進化」参加報告

国際氷天体ワークショップ「内部海を持つ氷天体の起源と進化」参加報告


 2017年3月8日(水)午後から9日(木)午前にかけて、国際氷天体ワークショップ「内部海を持つ氷天体の起源と進化」が北海道大学特任助教の鎌田俊一氏を世話人として、北海道大学理学部8号館「コスモスタジオ」で開かれました。参加者は約40名で会場は満員の盛況でした。RISEグループからは室長竝木、松本、野田、山本、荒木が参加しました。3月の札幌はまだ冬で大学構内には除雪された雪がうず高く残っていましたが最高気温はプラスで春が近い印象でした。

 

 

 

 最近木星や土星の氷衛星の一部、準惑星ケレスや冥王星でも地下の層が融けている事を示す観測データが得られ生命存在の可能性とともに注目を集めています。このワークショップでは、招かれたFrancis Nimmo教授(カリフォルニア大学)、木村淳助教(大阪大学)、Isamu Matsuyama助教(アリゾナ大学)、関根康人准教授(東京大学)を中心に、理論、数値シミュレーション研究を中心に11講演が組まれ、氷天体や関連分野の研究者がそれぞれの発表や今後の方向性について議論しました。

 以下、招待講演4件を中心に簡単に紹介します。まずNimmo教授より、冥王星の地形解析から内部の溶融を推定した事(2016年12月にNature誌に発表)と土星衛星エンケラドゥスの氷火山活動のエネルギー源不足問題について講演されました。この問題は以前から知られていますが、内部海をはじめ土星衛星系全体の力学まで絡んでおり大変興味深いものです。木村助教から氷衛星の内部海の存在条件について、Matsuyama助教から内部海の海洋潮汐理論及び真の極移動(自転軸が天体上を動くこと)について、講演がありました。関根准教授からは冥王星で見つかった暗斑の衝突起源説や準惑星ケレスの形成環境について発表があり、物理学と化学の協力の重要性を強調しました。一般講演でも内部海に関連する分野のほか、太陽系外部での微惑星形成、原始惑星の移動と太陽系外縁天体の起源などの発表があり質疑も大変活発に行われました。

   ところでこれまでの内部海の証拠は磁場探査、重力探査、地形解析などによるものです。これに対し2022年打上げ予定の木星系氷衛星探査計画JUICEに搭載するガニメデレーザ高度計(GALA)は、木星衛星ガニメデの形状変化を観測して内部海をより直接的に検出しようとしており、RISEを含む日本チームもこの計画に参加しています。データが得られるのは2033年頃の予定でまだまだ先の話ですが楽しみです。

(荒木博志)