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月着陸探査研究会開催報告


 10/19-10/20に国立天文台水沢キャンパスで月着陸探査研究会が開催されました。月周回衛星かぐやの打ち上げから今年で10年が経ちましたが、再び月をめざそうという機運が国内外で高まってきています。かぐやは周回機でしたが次代の月探査は月着陸機が主体になる、ということで特に月に着陸してどのような探査をすべきか、ということをざっくばらんに議論しようという主旨で20名近い月科学者に参加していただきました。

 

 研究会では測地学、地震学、電磁気学、熱科学と幅広い分野の専門家にそれぞれの観点で月の科学に残された謎は何か、その謎を解くためにはどのような探査を行うべきかについて語っていただきました。しかし予想どおり(?)いたるところで議論は紛糾。月についてどこまで分かっているか、という点では皆、それぞれの考えがあり、活発な議論が繰り広げられました。やはり着陸探査と関連の深い月の内部構造について議論が盛り上がりました。現在、月には地球と同じように地殻、マントル、核という構造があると考えられています。例えばこのような構造が存在するという証拠の一つはその境界面で反射した地震波を観測することなのですが、月では地殻—マントルの境界面からの反射波は観測に成功していませんし、マントル—核の境界面についても反射波の観測に成功した、という人とその結果は信用できないという人の両方が存在します。一方でこのような構造が多くの観測結果をうまく説明できることも事実です。このような月の課題についてそれぞれの立場から発表していただき、将来の探査ではどのような観測を行うべきか、という点について議論を重ねました。今回の議論では結論にいたることはできませんでしたが、月についてもまだまだわかっていないことが多く存在し、その謎を解くためには改めて月の探査が必要だということを再確認できました。

 

 普段の学会だとどうしても時間が限られてしまい、突っ込んだ議論をすることが難しいこともあります。今回の研究会では一人一人の発表の時間を長く取り、議論の時間も確保することができました。疑問に思っていたことを専門家に直接うかがう機会にもなり、非常に実りの多い研究会となりました。月の探査を取り巻く状況は不明確なことも多いですが月科学者として月で今何が一番面白いか、というのは常に考えていきたいと思います。

(文責 川村)