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VLBI


重力場と内部構造

月や惑星の内部構造は、その天体の起源や進化を考える上で非常に重要な情報です。月の場合、アポロ月震計データからある程度の内部構造推定が出来ていますが、1000kmより深い部分の構造についてはまだよく分かっていません。特に中心部に核があるのかどうか、あるとしたらそれは固体か流体か、その大きさや密度はどの程度なのかを知ることが重要です。重力場や慣性モーメント(回りにくさの指標)はその天体の密度構造を反映します。また、潮汐による重力場の時間変化を調べると、ラブ数k2と呼ばれる天体の柔らかさの指標が分かります。中心部に流体の核をもつ天体は変形しやすいので、k2を観測することによって核に関する情報を得ることが期待されます。

相対VLBI

「かぐや」により月の裏側の重力場の様子が以前より良く分かるようになりましたが、深部の情報を持つ重力場の長波長成分(重力場係数の低次項)の精度はまだ十分ではありません。そこで、我々はSELENE-2ミッションにおいて、周回衛星と着陸機との間の相対VLBI観測を行い、着陸機を基準として周回衛星の軌道を精密に決定することを通して重力場の低次項やラブ数k2を精度よく決めることを目指しています。相対VLBI観測は二つの電波源からの電波を複数の地上局で受信し、距離の二重差をとることによって大気や電離層の変動による誤差を大幅に低減させる観測手法です。既にSELENEのVRADミッションでその有効性が実証されたこの観測手法を、着陸ミッションであるSELENE-2に応用し、より精度の良い重力場観測を目指します。

開発項目

月の表面では、昼夜がそれぞれ2週間続き、昼間の温度は+120℃まで上がり夜間の温度は-180℃まで下がります。現在、このような過酷な環境下でも観測に要求される性能を発揮するアンテナの開発を進めています。また、電波源の省電力化の検討や、重力場のデータとLLR(月レーザ測距)データや月震計データと組み合わせて内部構造を推定する手法の検討をしています。