観測天体

この研究で観測する天体は、超巨大ブラックホールです。

ブラックホールの観測

ブラックホール自身からは光さえ脱出できませんが、その周囲のガスはブラックホールの強い重力によって光速に近い速さまで加速され、明るく輝きます。従ってブラックホールを観測すると、明るいガス円盤の中に黒い穴(ブラックホールシャドウ)が見えると考えられています。
しかしそれはとても見た目が小さいため、未だブラックホールシャドウの検出に成功した例はありません。

サブミリ波VLBIによる観測は分解能が非常に高いので、ブラックホールのように見かけのサイズが小さい天体を撮像するのに適しています。そのためSgr A*の「ブラックホールシャドウ」に迫れる可能性があります。また、その姿を捉えること(撮像)ができれば、ブラックホールの存在を究極の形で証明することができるのです。

これらが成功すると、世界の天文・物理研究が新たな展開を迎えることと期待されています。

 

>> ブラックホールとは

 

観測するブラックホール

観測天体のひとつは、ブラックホール Sgr A*(サジタリウス・エー・スター=射手座 A*)です。

Sgr A*は、地球から観測した見かけの大きさが最も大きいブラックホールです。その質量は太陽の約400万倍で、見かけの大きさは約4億分の1度と推定されています。
 

左は銀河系中心部(3度x4度)の領域の電波写真です。
左上から右下にかけて帯状に明るい(=電波が強い)ところが天の川に相当します。その中でもひときわ明るいところ(中央部分)が、超巨大ブラックホールSgr A*が存在する天の川銀河の中心領域です。

 


ふたつめの観測天体は、おとめ座銀河団中で最大の楕円銀河であるM87です。

その中心部には太陽の約30億倍もの超巨大ブラックホールがあり、そこからジェットが放出されています。
 

右はハッブル望遠鏡が撮影したM87の光学写真です。
左上の明るい点(M87の中心部)から放出されるジェットが、青白い帯のように見えています。

M87のブラックホールはSgr A*よりも約1000倍重いと推定されていますが、おとめ座銀河団は天の川銀河の中心に比べて約2000倍遠いので、このブラックホールの見かけの大きさはSgr A*より小さく、約10億分の1度と推定されています。

 
ブラックホールシャドウを直接撮像できると期待される天体は上に述べたSgr A*とM87の2つですが、これ以外に明るい電波ジェットを出しているクェーサーもサブミリ波VLBIの観測対称になります。
これらの天体はブラックホールから放射されるジェットが、特にその根元の領域でどうなっているかを解明するのに役に立つと期待されます。