最近はキャリア教育の一環として職業について調べる機会があるので、このページを読んでくれている中学生、高校生もいると思います。
将来、研究者を目指す人へ、ぜひメッセージをお願いします。
困難はありますが、それ以上に面白いし、やりがいはあります。
研究の世界って、基本的に「失敗」だらけなんですよ。未知の世界だから、10やったら9は失敗なんです。その中でひとつ成功すればいいんですけど、それさえ難しかったりする。逆に言うと、それにめげない打たれ強さ、図々しさが必要というか、ある意味で無神経な方が成功するんじゃないかな。
「鈍感力」ですか。
そうですね。失敗して「ああもうダメだ」みたいに思ったら、やっていけない。
試験問題のように、答えがあるものを要領よく導き出すチカラとは対照的に、答えがないもの、どうやっていいかわからないものにチャレンジするのが研究。ネチネチ何度もやるとか、失敗にめげず、どんなに打たれてもへこたれないとか、研究にはそういうチカラが大事ですね。
要領だけではカバーできない、底力の強さ。
そうですね。駒場キャンパスの授業では毎回必ず、旬のネタや笑い話を入れるようにしています。なぜかというと、寝ている学生を起こすため(笑)・・・という一面もありますが、ただのバカ話をすることで、ある種の展開力を自分に問うているんです。天文をベースにどこまで違う話をできますかって。
普段から展開するチカラを磨いている、さきほどの話とつながりますね。
そう。常識では思いもよらなかったことをやると、意外なことがわかって大発見!というのが研究の世界。普段からちがう視点でモノを見たり、ちがうことを言ってみる。それが研究のプラスになるんです。
いろんな事に興味を持って、たくさんの情報を自分の中に流して、その中から大事なものはピックアップしていきたいですね。
本間さんにとってVERAとは何でしょうか?
いい意味では“研究者にとっての青春”、悪い意味では“10年間の頭痛の種”です(笑)
今後はVERAを10年間続けて、目標である銀河系の精密な立体地図を完成させたい。
そしてVERAの経験を生かして、将来の新しいプロジェクトにつなげたいですね。
将来研究者を目指す人にとっても、ビジネスマンにも参考になるような、課長の話!
プロジェクト・サイエンティスト の極意を聞かせていただきました。
本間希樹さん、本当にありがとうございました。