そうやって研究とご家庭を上手に両立していらっしゃるようにお見受けするのですが、山内さんご自身はどう思われていますか?
そうですね。でもやっぱり独身時代に比べると「仕事できる量」というのは減っていると思います。独身のころだったら、本当に忙しい時期は食事や睡眠時間を削っても、とりあえず数日そこを乗り切ればなんとかなるっていう無茶がきいたんですけど…いま、できないんですよね。寝不足だと私、機嫌が悪くなるので。
山内さんでなくても、寝不足は機嫌悪くなりますって(笑)。
大人相手ならまだしも子供の言ってることって、寝不足で相手はできないんですよね。子供相手にキレるわけにもいかないので、もう寝ます。すると家に仕事は持ち帰れなくなりました。
その辺のジレンマってないんですか?明日までにこれをやりたいのにできない!っていう。
私はあの、子供が生まれてからですね、「予定を立てる」っていうのをかなりあきらめました。
あきらめましたか?!
はい。その日にできることを、その日にやるほうが精神安定上いいんです。もし予定を立てても次の日、子供が熱を出すかもしれないですし、もしそれが保育園に何日か行けないような感染病だとすると、一週間ぐらいは職場に行けないかもしれない。
そうですよね。とってもわかります。
細かく予定を立てても破綻するのはわかっているので「今日休んでも明日やればいい」くらいに割り切って考えています。そうは言ってもひと月単位くらいのレベルで「これぐらいやっておかなきゃいけない」とは考えますが。
でもそれは賢いですね。もっと苦労話が出るのかと予想してたんですけど、しなやかに対応していらっしゃって、いい生き方をされているな、という印象がすごくします。
夫と私とお互い研究者で、同業者として状況はわかっているという理解もありますので。どうにも切羽詰まって忙しい時は家に仕事を持ち帰って「悪いけど今日だけはちょっとこれやらせて欲しい」っていうことも、たまにありますね。
ご主人も協力的なんですね。
そうですね。