第12回目の意中の人は
秦和弘さん

国際協力とコミュニケーション

マダム

はじめに秦さんの現在のポジションとお仕事内容について教えてください。

僕は水沢VLBI観測所の助教として、VERAを使った新しい研究を推進する役を担当しています。いま一番力をいれているのが韓国、中国と一緒にアジア全体でひとつのVLBIのネットワークを作って新しい観測をしましょう、という「東アジアVLBIネットワーク計画」です。

マダム

国際協力プロジェクトですね。日本と韓国、中国と聞くと、政治的には複雑な関係という印象があるかもしれませんが、天文学の世界では団結して協力しあってやっているというのは興味深いことですね。

そうなんですよ。VLBIは他の国と一緒に協力するということが本質的なんです。むしろお互いをわかりあうことができないと、プロジェクトを進めることが難しい。コミュニケーションの要素がとても重要になってきます。

コミュニケーション力は人間力

マダム

そうした国際的なコミュニケーションでは、どんなことに気をつけていますか。

たとえば韓国は儒教が浸透していて日本よりもずっと上下関係が厳しいんです。日本で目上の人を呼ぶときは「さん」や「先生」をつけて呼びますが、韓国では「博士」と必ずつける、というように韓国の人と話すときには、相手に失礼がないように気をつけています。

マダム

ほかの国では?

僕は研究員時代を3年ほどイタリアで過ごしたんですけれど、イタリアだと全然ちがって、いかにお互いに友だちであるかがビジネスの成功につながったりするんです。イタリア人と仲良くなろうと思ったら、会話をたくさんして、思ったことを正直に発言する。本当に仲良くなると家族ぐるみのつきあいをしてくれて楽しいです。

マダム

人間力が反映されるんですね。ヨーロッパ全体ではいかがですか?

ヨーロッパでも北と南では人の性格が全然ちがいますよね。イタリア、フランスといった南のほうの太陽がサンサンと輝くところの人は基本的に楽観的なんですよ。カラッとしていて明るく、裏表がなくて、友だちっていうつきあいをすごく大事にする。一方でドイツや北欧のような北のほうの人たちって、すごく真面目ですよね。真面目になるから人に対して警戒心を抱く。日本人はこちらに近い感じがしますね。
そうやって、その国や地域の文化を知っておくことが、国際協力のプロジェクトを円滑にすすめる上で、すごく大事だと思います。

秦 和弘
氏名
秦 和弘 はだ かずひろ
出身地
島根県生まれ
紹介

アジアや欧米の人たちと協力しながら地球規模の望遠鏡を形成する取り組みを進めています。ブラックホールと仲良くなって自分にだけコッソリ秘密を教えてもらうために、できるだけ頻繁に会話(=観測)をするように心がけています。またブラックホール本体の写真撮影を目指す国際プロジェクト「Event Horizon Telescope」のメンバーとしても活動しています。

VLBI

超長基線電波干渉法。超ざっくり説明すると、複数の電波望遠鏡で観測したデータをかけあわせて、ひとつの巨大な電波望遠鏡と同等の性能を得る方法。くわしくは、こちら

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