第12回目の意中の人は
秦和弘さん

ブラックホールともコミュニケーション!

マダム

秦さんといえばブラックホール!研究内容について教えていただけますか。

研究はVLBIを使ってブラックホールの観測をしています。たくさんある銀河を人にたとえると、VLBIというのはある特定の人だけにクローズアップして、その人をすみからすみまで観察するっていう望遠鏡なんです。その人を頭のてっぺんから足の先までずーっと見ていくと、ジェットの形とか、スリーサイズとかが鮮明にわかる(笑)。だから僕がブラックホールを観測するときは、その天体と会話をするような感じです。「おまえはどんなやつなんだい」と。

マダム

すごい!ブラックホールともコミュニケーションをはかっているんですね。

そうなんです。さらにそのブラックホールが年々どういう状態にいるかを観察していくと、そのブラックホールがまさに生き物のようにふるまうんですよ。あるブラックホールを去年観測したら、勢いよくモノを出していて、「ああ、元気がいいね」って思っていたんですが、今年観測してみると、どうも元気がない。そうすると気になるわけですよ。「どうしたの?」って。

マダム

おまえ、大丈夫かいと、心配になるわけですね。

そう。ブラックホールって、数学的には単にモノが吸い込まれる黒い穴なんですよ。でも実際に宇宙にあるブラックホールたちは、明らかに個性があるんです。おそらく、ブラックホールのまわりにモノがどれだけたくさんあるか、モノがどれだけ落ちやすいかという、まわりの環境が影響を与えていると考えられているんですが。まわりの環境に左右されるのも人間と同じですよね。

マダム

本当ですね!だいぶブラックホールに親近感がわいてきました。

秦 和弘
氏名
秦 和弘 はだ かずひろ
出身地
島根県生まれ
紹介

アジアや欧米の人たちと協力しながら地球規模の望遠鏡を形成する取り組みを進めています。ブラックホールと仲良くなって自分にだけコッソリ秘密を教えてもらうために、できるだけ頻繁に会話(=観測)をするように心がけています。またブラックホール本体の写真撮影を目指す国際プロジェクト「Event Horizon Telescope」のメンバーとしても活動しています。

ブラックホール(blackhole)

重力が非常に大きく、光さえ脱出できない極めて高密度の天体