第16回目の意中の人は
酒井大裕さん

やっぱり銀河系中心が好き

マダム

大学で銀河系中心にどっぷりはまって、それから銀河系中心ひと筋ですね。どんなところに魅力を感じているんですか?

酒井

僕が一番好きな「銀河系中心の画像」をもう一度見てみます。この1枚に銀河系中心の魅力が詰まってるんですよ。中心にブラックホールがあって温度が高いので明るく光ってる。そのまわりに超新星残骸があったり、星が生まれていたり、「アーク」って書いてあるところは線が走ったようになっていますよね。中心の磁場の影響と考えられていますが詳しいことはわかっていません。それ以外にも「マウス」とか「スネーク」っていう天体がありますし、一番右下には僕が1本目の投稿論文を書いた「トルネード」

っていう竜巻状の天体があるんです。いろんなヤツがいて、なんだかよくわかってないものが多い。ひとつの画像の中にこれだけわかってないものが詰まってる、っていうのが魅力を感じる理由ですね。

マダム

聞けば聞くほどおもしろい。銀河系中心の魅力がすごく伝わってきます。「自分が片っ端から解明するぞ!」って思ってるでしょ♡

酒井

はい!これを見ると「どこから手をつけようかな」ってワクワクします。

マダム

今後はどのように研究を進めていく予定ですか?

酒井

僕は日韓合同VLBI観測網(通称KaVA)にも関わっています。KaVAを使える環境が整ったら、VERAでは届かなかった天体をどんどん観測していこうと思っています。また、アルマ望遠鏡はものの中身をくわしく見るのに適している装置なので、銀河系中心の天体それぞれがどういう風に運動をして、環境、密度、温度にどんな影響を与えているのかを調べることは、最終的な僕の研究のテーマにつながります。VERAやKaVAと並行しながらアルマにプロポーザルを出していくことも考えています。

酒井さんにとってVERAとは

マダム

素晴らしいです。そんな夢いっぱいの酒井さんにとって、VERAとは?

酒井

僕は学生の時からポスドクのいままで6年間をVERAで過ごし、研究者になるまでの一連の過程で大事なことを育ててもらいました。ですから僕にとってVERAは、研究者になるための「育ての親」です。

マダム

ありがとうございました。酒井さんの“親孝行”な今後の活躍に期待しています!

酒井 大裕
氏名
酒井 大裕 さかい だいすけ
出身地
愛知県生まれ
紹介

VERAの科学目標である天の川銀河の三次元地図づくりにおいて、天の川銀河の中心領域を主に担当しています。銀河系中心の魅力にとりつかれて早や6年、これからも銀河系中心のアストロメトリーを極めていきます。
学生時代は空手。最近の趣味は自宅で凝ったカレーを作ることです。

銀河系中心の画像
日韓合同VLBI観測網 (KaVA)

上図:KaVAの望遠鏡配置図。下図:各局の電波望遠鏡写真。左からヨンセイ局(ソウル)、ウルサン局、タムナ局(済州)、水沢局、入来局、小笠原局、石垣島局。(クレジット:国立天文台/韓国天文宇宙科学研究院)

酒井さんの研究成果

国立天文台野辺山・NEWS・2014・8月18日「謎の宇宙竜巻「トルネード」の形成過程を解明」