第17回目の意中の人は
田崎文得さん

ブラックホールシャドウを捉えたEHTプロジェクトで活躍!

マダム

国立天文台水沢の特任研究員である田崎さんは、史上初のブラックホールシャドウの撮影に成功したイベント・ホライズン・テレスコープ(Event Horizon Telescope 以下EHT)プロジェクトの主要メンバーのお一人です。おめでとうございます。素晴らしい成果が出ましたね!

田崎

ありがとうございます。

EHTメンバーと記者会見に臨む田崎さん(前列左)
EHTメンバーと記者会見に臨む田崎さん(前列左)
マダム

EHTプロジェクトで田崎さんはどんな仕事をしているのですか。

田崎

私のメインの仕事のひとつは、観測データを目に見えるイメージ(画像)に変換する方法を開発することです。「イメージングツール」と呼びます。可視光の望遠鏡とちがって、電波望遠鏡で観測して得られるデータはただの電圧の変化なんです。それらを相関処理して、さらにフーリエ変換をして…

マダム

???

田崎

えーと…詳細は省きますが、ただ変換しただけでは不十分なイメージしか得られない。そこを工夫して、スパースモデリングと呼ばれる新しい手法を取り入れ、一気に見やすいイメージを作る方法をEHTチームの一員として開発してきました。

EHTで撮影されたM87中心の巨大ブラックホールシャドウ
EHTで撮影された
M87中心の巨大ブラックホールシャドウ

(Credit: EHT Collaboration)

マダム

なるほど。非常に重要な役割を果たされたのですね。ということは、田崎さんの研究分野はブラックホール?

田崎

そうですね。「活動銀河核」といって、主に銀河中心部のブラックホールやブラックホール周辺のジェットを研究しています。私は学生時代にX線を使った研究をしていたので、X線で見て明るい天体をピックアップして電波で観測し、電波ではどういう風に見えるのか、X線とジェットがどういう風に関係するのか、といったことを調べています。

マダム

多波長という観点は独特ですね。観測にはVERAを使っているのですか?

田崎

VERAに韓国の望遠鏡を組み合わせたKaVA、そこに中国も加えたEAVN(東アジアVLBI観測網)を使って研究をしています。私はずっとEHTで使うためのイメージングツール開発をやってきたので、その強みを生かしてEAVNでも同様にイメージが出せるようなツールを開発し、それを自分の研究にも生かしたいです。

マダム

EHT用に開発したものを、さらに広く使える便利なものに発展させるのですね。あれっ、同じVLBIなのに、どうしてEHTのイメージングツールを、そのままEAVNで使えないの?

田崎 文得
氏名
田崎 文得 たざき ふみえ
出身地
千葉県生まれ
紹介

京都大学大学院理学研究科で学位(博士)を取得。学生時はX線衛星を使って活動銀河核を研究しました。現在は水沢VLBI観測所の特任研究員としてVERAの運用に携わりながら、EHTプロジェクトの一員としてEHTのデータ解析、広報業務の取りまとめ役をしています。一児の母。水沢で暮らし始めて2年、休日には子どもを連れてお出かけしたり、産直で買った美味しい野菜や海の幸を堪能したりして、水沢ライフを楽しんでいます。

ブラックホールシャドウ

ブラックホールは光さえ吸い込むため見えない天体のはずだが、周囲の高温ガスが明るく輝くことでブラックホールの黒い影が浮かぶ。これがブラックホールシャドウ。

EHTプロジェクト

世界的な協力でミリ波・サブミリ波VLBI観測網を構築し、ブラックホールシャドウの撮像を目的とした国際プロジェクト。≫EHT-Japanのウェブページ

VLBI(超長基線電波干渉計=Very Long Baseline Interferometry)

数千キロメートルも離れた複数の電波望遠鏡の観測データを合成して一つの観測データとして扱う手法。

KaVA(KVN and VERA Array)

韓国に設置された3基の電波望遠鏡(KVN: Korean VLBI Network)とVERAを結合した観測網。

EAVN(東アジアVLBI観測網=East Asian VLBI Network)

KaVAに加えて、野辺山、中国の上海、ウルムチの電波望遠鏡が参加しており、さらに中国の複数の電波望遠鏡やタイに建設中の電波望遠鏡による連携も進めている。