第2回目の意中の人は
川口則幸さん

ハワイが日本に近づいてくる!

川口

日米VLBI実験では、ハワイと鹿島(茨城県)の間で距離を測ったんです。

83年~87年の実験結果をつなぐと、本当にプレート運動できれいに直線上に動いている。ハワイが日本に近づいてくるんだよ!

だから新婚旅行はしばらく行かない方がいいよ。ハワイなんて将来近くなるから。

マダム

あの...それっていつですか?

川口

約1億年後です(笑)。

マダム

もう〜!天国から行きますよ(笑)。どれくらいずつ近づいているんですか?

川口

1年に7cmずつ。1984年から30年近く経っているから、あれから2m以上動いてるわけだ。そう考えるとすごいよね。

この研究「VLBI技術による史上初の太平洋地殻プレート運動の実測」で、1989年に「新技術開発財団・第21回市村学術賞」をいただきました。ヒゲの殿下・寬仁親王が理事長で、殿下から賞状をいただいたよ!

というわけで、これがVLBI黎明期の話だね。

  マダムに説明
マダムに説明

南鳥島にアンテナを建てた

川口

次は日本独自でプレートの相対運動を測ることになった。日本は4つのプレートに分かれているでしょう。不安定なところだから地震がたくさん起きる。

それで、日本の領土で唯一太平洋プレート上にある南鳥島に10mアンテナを建てて、実験をやった。これがマーカスプロジェクトです。アメリカから返還になる前は南鳥島をマーカス島と呼んでいたからね。

観測地は、太平洋プレートが南鳥島(マーカス島)、フィリピン海プレートが南大東島、北米プレートは鹿島、ユーラシアプレートは中国の上海でやった。南大東島には3mの小型アンテナを持って行ってね。

  懐かしそうに語る川口所長
懐かしそうに語る川口所長
マダム

うらやましい!南鳥島や南大東島へ行ったのですか?

川口

マーカス島へは、自衛隊のC130っていう飛行機で行くから、防衛庁との折衝や手続きばかりでね。そのころ私は室長になっちゃったから、自分では一度も行けなかった。行きたかったですよー。

それやこれやしてるときに、天文台からお呼びがかかった。

川口 則幸
氏名
川口 則幸 かわぐち のりゆき
出身地
岐阜県生まれ
紹介

1977年から37年間、ひたすらVLBIに関連する研究を進めてきました。
観測装置の開発が主で、他の電波天文観測システムにはないVLBIに特有の装置、水素メーザ原子時計や磁気記録装置、相関処理装置の開発を行ってきました。
観測成果では、太平洋プレート運動の検出や世界で初めてのスペースVLBI観測の成功、VERA計画での年周視差計測の成功などが挙げられます。

南鳥島(マーカス島)
南鳥島(マーカス島)

返還前はマーカス島と呼ばれていた南鳥島。(画像:Wikipedia)