宇宙に興味を持つきっかけはありましたか?
小学校高学年のとき、雑誌「ニュートン」でボイジャーが撮影した天体写真を見たのがきっかけです。土星とか天王星とか、自分は絶対に行かれない場所にモノを飛ばして、こんなに綺麗な写真が撮れてしまう。すごく感動しました。将来は宇宙に関する研究をしたいと思うようになり、宇宙を学べる大学の付属高校ばかりを受験しました。
そして早稲田大学高等学院から、早稲田大学理工学部物理学科へ進学します。
高校の先生からは物理の成績が悪くて心配されたんですが、それでも天文学を勉強するために物理学科へ行っちゃいました。おかげで苦労しましたね。難しくて(笑)。でも月探査衛星SELENE(かぐや)の観測機器を扱っている研究室に入ることができ、そこでソフトウエアの経験を積んだことが今に繋がっています。
大学の卒業論文が「月探査衛星SELENE搭載用ガンマ線分光計のシミュレーション」、修士論文は「早稲田大学那須パルサー観測所20m固定球面鏡の駆動制御」おや、だいぶテーマが違う?
早稲田大学は当時電波望遠鏡を持っていて、それを使って観測をしている面白い研究室があったんです。大学生のときは衛星の研究室を選びましたが、子ども時代から天文が気になっていた自分としては、せっかく早稲田にいるのだから望遠鏡の現場にも関わりたいと思い、大学院修士課程進学時に那須パルサー観測所の研究室に移りました。観測してデータを扱うよりも、望遠鏡の一部を遠隔操作で動かせるようにしようという研究課題に強く惹かれ、駆動制御の研究をしました。
あっ、駆動制御!
はい。プログラムを実行してモーターを制御する、先ほどのVERAアンテナの例だとACUの部分に相当します。ソフトとハードを結びつける制御分野の仕事は今後も自分の専門として深めていきたいですね。今回、TSU開発を通じて「機械と話をするのが楽しいな」と思えたので、これからもアンテナと話をしたいと思っています。
観測装置の安定運用と長期的性能維持を目標とするVERA保守部門所属。前職では民間企業で人工衛星地上試験設備改修等を担当。2016年に国立天文台へ転職し技術員となる。子どもの頃から天文好き。いまも自宅にある望遠鏡Vixen VIPERで天体を観測したり、観望会ボランティアで星座の解説をすることも。多趣味だが卓球と合唱を長く続けている。
(現在は大師堂先生は退職されており、学生の募集はありません)
(現在は学生による研究には使われておりません)
栃木県那須塩原市にあった観測所。固定球面鏡9基(直径20m×8基、直径30m×1基)が研究に使われていた。