第4回目の意中の人は
金口政弘さん

VERAのエンジニア

マダム

前職はSONYのメカニカルエンジニアという経歴をお持ちの金口さんですが、まずはVERAプロジェクトでの仕事と役割について教えていただけますか。

金口

はい。各観測局(水沢・入来・小笠原・石垣島)のアンテナで観測した電波信号を記録する機械の保守と、その記録した信号を処理する相関局(三鷹)の管理が私の主な仕事です。

マダム

どのような機械なんでしょうか。

インタビューの様子
インタビューの様子
金口

アンテナから取り込まれた電波信号は、「DIR」というレコーダーを使って、この業務用デジタルテープに記録しています。

マダム

テープが大きい!

金口

これ1本で80分の記録ができます。観測は24時間体制で行われるので、途中でテープ交換をします。

マダム

80分ごとに交換していたら、寝られないのでは?

金口

テープを自動交換するオートチェンジャー「DMS」という機械があります。DMSには32時間分のテープをセットできるので、1日とちょっとは寝られますよ(笑)。

マダム

寝られて良かった♡ それは冗談ですが、それにしても、24時間の観測をすると18本のテープが4局分で72本!大量のテープが必要なんですね。

金口

はい。それをどんどん宅配便で三鷹の「相関局」へ送ります。情報量がとても多いので、光ケーブルとかで直接データを送ることができないんです。そうやって送られてきたテープを相関局で再生して信号を読み取り、「相関処理」を実施しています。

相関処理とは?

マダム

相関処理とはどのような処理なんでしょうか?

金口

おおまかに言うと、各局から送られた信号を時間ピッタリ合わせてまとめ、信号を重ね合わせる作業が相関処理です。相関器は24時間稼働しているので、処理をする人たちがスムーズに作業できるようサポートするのも、私の仕事ですね。

マダム

24時間!コンビニ状態なんですね。

金口

観測を24時間態勢でやってますから、こちらも24時間態勢でないと処理が追いつかない。しかもDIRってリアルタイム(=1倍速)でしか再生できないんです。2倍速、3倍速での処理ができない。

マダム

観測した時間と同じだけ再生しないといけないんですね。

金口

そう。アンテナが24時間動いたら、24時間テープを再生しないとダメ!三鷹相関局でトラブルが起きると、アンテナがせっかく記録をしているのに、相関処理がどんどん遅れていってしまうので、そこを管理するのも私の大事な仕事の一つです。

記事公開日:2014年9月20日

金口 政弘
氏名
金口 政弘 かなぐち まさひろ
出身地
大分県生まれ
紹介

国立天文台水沢VLBI観測所の専門研究職員として観測用機械の保守、管理、サポートや、相関処理を実施する相関局の管理をしています。2010年までSONY(株)に勤務。現在、VERAで使用しているデータレコーダー「DIR」の設計、開発に携わりました。片道2時間通勤のため早目に帰ることが多いのですが、飲ミュニケーションは大好きです。

デジタルデータテープ
デジタルデータテープ

DIR-2000で使用される磁気テープ。19mm幅、11μm厚。1巻当りの記憶容量は617GBytes 、DVD約130枚に相当する。

自動テープ交換機
DMS-24

DMS-24 Digital Mass Storage System