第9回目の意中の人は
寺家孝明さん

南極生活の思い出

マダム

南極生活のエピソードをお聞かせいただけますか?

寺家

観測をする衛星受信棟は生活棟とは別の建物なので、ブリザートがくるとしばらく閉じ込められてしまいます。非常食を持っているので、そこでも過ごせるんですけれど。

マダム

非常食よりもふつうのご飯が食べたいですよね。昭和基地の食事はいかがでしたか?

寺家

おいしかったです!コックさんは一流レストランと老舗料亭の方でした。日本国内での準備中に「あなたは何が好きですか?」っていう趣向調査があるんですよ。いいものを書いておかないと食べられませんから、みんなウニ・いくら、ウニ・いくら…って書く(笑)。

マダム

ここぞとばかりに(笑)。ウニ・いくら、食事に出たんですか?

寺家

出ました。最後はウニを全部かき出して使い切って、とんでもないウニ丼が出てきて(笑)。私は「おこぜ」って書きました。もちろん出ましたよ。

マダム

食事の希望が叶うのは嬉しいですね。39人の好みに全部対応できるコックさん、さすがです。

寺家

あと週に一回、必ずカレーの日があります。なぜかというと曜日の感覚がわからなくなるから。昭和基地では土曜日、「しらせ」では水曜日がカレーでした。

オーロラの乱舞、満天の星

マダム

オーロラがすごい!

南極のオーロラ 写真はイメージです。(画像:Wikipedia)
南極のオーロラ

オーロラの写真はイメージ写真です。(画像:Wikipedia

寺家

オーロラはまさに乱舞していました。あの動きはなんとも言えないですね。

マダム

天体写真もすごい。星が..信じられないくらいキレイですね!

寺家

マゼラン雲、南十字星、コールサック、よく見えていました。あっちに行くと、オリオンとさそり座が同時に見えるんですよ。

マダム

えっ?オリオン座とさそり座が同時に?

寺家

北半球では同時に見えないんだけれども、南半球に行くと見えるんです。両方とも地平線のあたりを這いずり回ってますよ。

マダム

本当にオリオンがさそりから逃げているみたい!おもしろいですね。

寺家 孝明
氏名
寺家 孝明 じけ たかあき
出身地
愛媛県生まれ
紹介

地学・地球物理学を専門として研究を行っており、国立天文台のVERAプロジェクトに係ってからは、VLBIを用いた時空計測に関する研究と幾何測地学を専門として研究を続けています。大学生の頃からフィールドワーカーなので、観測の現場にいる事をモットーにしております。

オリオン座とさそり座の神話

巨人オリオンは優れた狩人だったが「この世に自分が倒せない獲物はいない」と驕ったため、神の反感を買い、さそりの毒針で刺し殺された。オリオンとさそりは天にあげられ星座となったが、両者は天空の中で正反対の位置にある。これはさそりを恐れるオリオンが、さそりが沈んでから姿を現し、さそりが東の空へのぼってくる頃になると慌てて西の空へ沈んでしまうためと伝えられている。