ブラックホールともコミュニケーション!

ブラックホールともコミュニケーション!

マダム

秦さんといえばブラックホール!研究内容について教えていただけますか。

研究はVLBIを使ってブラックホールの観測をしています。たくさんある銀河を人にたとえると、VLBIというのはある特定の人だけにクローズアップして、その人をすみからすみまで観察するっていう望遠鏡なんです。その人を頭のてっぺんから足の先までずーっと見ていくと、ジェットの形とか、スリーサイズとかが鮮明にわかる(笑)。だから僕がブラックホールを観測するときは、その天体と会話をするような感じです。「おまえはどんなやつなんだい」と。

マダム

すごい!ブラックホールともコミュニケーションをはかっているんですね。

そうなんです。さらにそのブラックホールが年々どういう状態にいるかを観察していくと、そのブラックホールがまさに生き物のようにふるまうんですよ。あるブラックホールを去年観測したら、勢いよくモノを出していて、「ああ、元気がいいね」って思っていたんですが、今年観測してみると、どうも元気がない。そうすると気になるわけですよ。「どうしたの?」って。

マダム

おまえ、大丈夫かいと、心配になるわけですね。

そう。ブラックホールって、数学的には単にモノが吸い込まれる黒い穴なんですよ。でも実際に宇宙にあるブラックホールたちは、明らかに個性があるんです。おそらく、ブラックホールのまわりにモノがどれだけたくさんあるか、モノがどれだけ落ちやすいかという、まわりの環境が影響を与えていると考えられているんですが。まわりの環境に左右されるのも人間と同じですよね。

マダム

本当ですね!だいぶブラックホールに親近感がわいてきました。