スケールのちがいで見え方が変わる

スケールのちがいで見え方が変わる

田崎

そのまま使えないこともないんですが、両者のスケールがちがうと見るもの自体の構造がちがって見えてしまうので、調整が必要なんです。たとえば、このボールペンをルーペで見ると、拡大されたボールペンの形が見えます。でも電子顕微鏡で見ると、ボコボコした分子の構造が見える。天体の特徴を見るときも「このスケールで見るとジェットがこんな風に見える」というのが同じでないと、ツールをそのまま使うのは難しいんです。

マダム

なるほど。

田崎

EHTのスケールが20マイクロ秒角なのに対して、EAVNが700マイクロ秒角なので、一桁以上ちがう。さっきのボールペンの例でも、全体の構造を知らずに分子構造だけを見ても実態がよくわからないですよね。ツールも同じなんです。EAVNのスケールに合わせて、たくさんあるパラメーターの微修正をチェックしながら、EAVNで使ってもらえるように改良しているところです。

韓国、中国の勢いがすごい!

マダム

国際プロジェクトをされていて、大変だったりおもしろかったり、印象的なことはありますか。

田崎

昨年9月にEAVNのワークショップがあって日本、韓国、中国の各VLBIに関わる研究者が韓国に集まったんです。そうしたら韓国と中国のトークがものすごい勢いに溢れていて圧倒されました。韓国・中国は「私たちの時代だ」みたいな感じですごく盛り上がっている雰囲気を肌で感じて、「いいなあ!」って思いました。

マダム

潤沢に予算がついていいなあ(笑)。

田崎

そうなんです(笑)。アンテナをここに新しく作るぞ、ここにも新しく作るぞって盛り上がっていて、とにかく勢いを感じましたね。

マダム

おもしろいですね。

田崎

観測網としてアンテナが増えるのは素晴らしいですね。私たちもそれを使って観測できますし、データの精度も良くなるので。東アジアが協力してプロジェクトを成長させながら、日本のVERA4局の存在感も示しつつ成果を出していく感じです。