今回はオマケ特大号として、ちょっと小難しい望遠鏡の分解能について秋山さんに質問してみました。題して...
望遠鏡の視力に相当する「分解能」をあげるためには、どうすればいいの?
望遠鏡の空間分解能=視力っていうのは、観測波長と、望遠鏡の大きさで決まるんですよね。つまり、分解能を上げるためには2つ方法があるということです。ひとつは望遠鏡を大きくする方法。地球全土でVLBIを行うと、基線長が1万kmくらいになります。
地球の端から端、つまり直径1万kmの合成望遠鏡ですね!
この1万kmの望遠鏡で波長1cmくらいの電波を観測すると、分解能は0.2か0.3ミリ秒角になります。
ふむふむ。
ところが、僕らがターゲットにしているブラックホール=いて座Aスター(Sgr A*)の大きさは、さらに一桁ちっちゃくて、約0.04ミリ秒角(=40マイクロ秒角)なんです。
なぬ!
だから波長1cmだとブラックホールの写真を撮るのはキビシイんですね。
地球の大きさと波長1cmじゃダメなんですね。
残念ながら中止になってしまったVSOP-2計画は、宇宙に電波望遠鏡を打ち上げて基線長を桁で良くして、M87のブラックホールシャドウを狙ってたんですよね。
望遠鏡の直径を地球よりも大きくする作戦だったんですね。
僕らの場合は2つ目の方法です。望遠鏡は地球に置くんだけれども観測波長を1ミリに持って行く。そうすると分解能が一桁良くなるんで、そのままさっきの0.2ミリ秒角が一桁ちっちゃくなって、0.02ミリ秒角とか0.03ミリ秒角になるんですよ。
波長を短くする事で、分解能を上げることができるとっ!
そうです。まとめると、1cmの波長で1万kmの大きさだったら、0.2ミリ秒角=200マイクロ秒角。これを一桁波長を短くすれば20マイクロ秒角になって、ちゃんとブラックホールの穴の大きさに届きますね、っていうのがEHTの考え方です。ちなみに20マイクロ秒角の分解能をわかりやすく例えると、地球から月に置いたピンポン玉の上下が見分けられる視力に相当します。
すごすぎる~!!
ブラックホールは40~50マイクロ秒角なので、地球から月面上のテニスボールが見える分解能を実現すれば、ブラックホールの写真が撮れるというわけです。
解りやすく教えていただき、ありがとうございます♡