意義:超巨大ブラックホールに肉薄

 今回の観測はM87のブラックホール半径の数倍程度の領域に肉薄するものであり(図5)、我々EHTグループが最終的に目指しているブラックホールの直接撮像がいよいよ実現に近づいたことを示しています。さらに、今回の観測が回転するカー・ブラックホールを支持することや、電磁流体力学シミュレーションの理論的な予想と合致することは、ジェットの形成・放出にブラックホールの回転や磁場が関わっている可能性を示唆しています。今後は、ALMAなどの高感度の望遠鏡を追加して観測網をさらに拡張することで、ブラックホールの直接撮像やジェットの放射・加速機構の解明ができると期待されます。

図5:ブラックホールとその周辺領域の想像図。今回の観測は、ブラックホールの極く近くでジェットの根元の大きさを初めてとらえたもので、その大きさがブラックホール半径の5.5倍と求められた。また観測されたジェットの根元とブラックホールとの距離は、ブラックホール半径の2倍~数倍程度と考えられている。

 

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