VERA構想、夢物語に夢中!

VERA構想、夢物語に夢中!

石川

1980年頃、光学に替わる電波の観測装置を水沢に導入しようということで電波天文の勉強会がはじまりました。水沢ではけっこう勉強会をしたんですよ。それをもとにVERAの仕様書が作られていったんです。

マダム

キター!VERA!!「緯度観測所VERA準備推進委員会1985年」

石川

VERAの一次仕様書です。これを見てもわかるとおり、そもそもVERAって地球回転観測用の装置だったんですよね。

マダム

えっ?銀河の立体地図作りじゃないんですか?

石川

当初はそこまで大きな計画ではなかったんですよね。ここに書いてありますけど「・・・VERAは位置計測用システムとしての本来の姿を目指し、自前の一基線のことを考えている」

マダム

本当だ、いまのVERA計画とぜんぜんちがう。

石川

天文月報2015年8月号の記事にもありますよ。「元々はVLBIで地球の回転運動を調べるというのが初めの目的だったんだけれども、それが間違った方向に行って・・・」(笑)。

マダム

間違った方向なんですか?!いまは(笑)。

石川

でも比べてみると「目指すもの」というあたりは、いまの方向性とも合致していますよ。それが最終的なスペックでは銀河系の構造解明とかダークマターとか、もっと広い大きな研究をするための装置へと移っていったんです。

マダム

同じ位置計測ですものね♡ だいぶスケールが大きくなりましたけど。

石川

ははは(笑)、そうですね。このとき私はVERAの制御監視用の計算機を担当したんですよ。

当時CPUが3ミップスとか、メモリーが4メガとかです。勉強会をベースにしてネットワークの検討もしました。

マダム

そんな超初期から、VERAに関わっていらしたんですね。

石川

いやいや、夢をみながら構想に関わっただけです。これはまだVERAが夢物語の時ですから、VERAに夢中どころか夢に夢中!ひょっとすると、このころがいちばん夢中だったかもしれないですね(笑)。