副台長の仕事

副台長の仕事

マダム

副台長の仕事についてお聞きします。普段どんなことをされているのでしょうか。

小林

私は天文台の財務を担当しています。予算を獲得して、それを台内の各プロジェクトにVERAはいくら、野辺山はいくら、アルマはいくら…と配分する仕事です。

マダム

ひゃ~!各プロジェクトの予算は小林さんのさじ加減にかかっているんですね。各プロジェクトに予算を配分するまでの流れを教えてください。

副台長として財務を担当
副台長として財務を担当
小林

まずは、国からの予算を得るために「概算要求」をします。それについて文部科学省(以下、文科省)に説明するための準備を、各プロジェクトと一緒にやっていきます。なんでこんなに必要なのかとか、どうして来年必要なのかとか、そういうことをいろんな審議会で説明して予算を得て、次年度の天文台全体の予算が決まります。そうしたら今度は各プロジェクトから上げられた予算要求の内容を見て配分するんですが…。

マダム

予算は足りるんでしょうか?

小林

全然、足りない!(キッパリ)だから査定をしていくわけです。これは来年に回せるでしょう、とか、こういうところは削減できるじゃないかって。そうすると、みんな不満を言うよね。

マダム

各プロジェクトから不満を言われながら査定を?

小林

そう。誰も満足しない!

マダム

ああ…。

小林

私が副台長になった年は、アルマの建設予算が足りなくて非常に苦労しました。アルマ全体の建設費用の4分の1を日本が受け持つんだけど、文科省からはその金額の予算が下りなかった。でもアルマの予算は作らないといけないから、台内でかき集めるわけです。

マダム

他のプロジェクトの予算を削って…ですか?

小林

そう。でもね、そうやっていろんなところからお金を集めて、なんとかアルマをつくり上げても、それで他の研究が死んじゃったら意味がないわけです。だから他のプロジェクトもなんとかやれるようにする。それが大事なんですよね。

マダム

集中的にお金が必要な時期はそこへ投入しつつ、全体を見極める。なんだか会社経営に似ていますね。ちなみに副台長は2人いらっしゃいますが、小林さんと渡部さんはどのような役割分担なのでしょうか?

小林

役割分担は財務と総務です。お金に関することは私。それ以外は全部、渡部さんです(笑)。