新しい手法で古い望遠鏡が生き返る!

新しい手法で古い望遠鏡が生き返る!

亀谷

見学中に、もし幸運にも10mアンテナが動く場面に遭遇したら、動くスピードに注目してみてください。高性能の駆動系を使っているので急にグワーッと速く動いてピタッ!と止まります。古くなったとはいえ、まだまだ十分使える。世界には完成から50年以上経っても現役で活躍している電波望遠鏡があります。ジョドレルバンク天文台の76m鏡とか、パークス天文台の64m鏡とか。定期的に保守をすれば、この10mアンテナも50年以上使えると思うんですよね。

電波吸収体を10mアンテナの受信機に被せて…
電波吸収体を10mアンテナの受信機に被せて…
亀谷

実はいま10mアンテナを使って、新しい研究をやろうと思っているんです。今日も10mアンテナに登って、そのための準備作業をしました。

マダム

どんな研究なんですか?

亀谷

最近、VLBI観測によってパルサーまでの距離を精密に測れるようになってきました。周波数に対しパルス到達時刻がどれくらい遅くなるかを調べると、その割合からパルサーと地球の間にある電離ガスの量がわかります。距離がわかれば平均密度がわかるので、今まで測定されたパルサーについてまとめていくと、この辺は密度が高い、この辺は低いという対比がつけられる。つまり、天の川銀河の中の構造が非常に詳しく分かり得るんですよ。

マダム

面白いですね。古い望遠鏡を使って新しい手法で!

亀谷

今後の研究として、まずは10mアンテナでパルサーのVLBI観測をしたいと思っています。残念ながらVERAではまだパルサーまでの距離を測ってはいません。とはいえ、VERAでも低い周波数の受信機を入れて試験観測を始めているんですよ。早くVERAで参加したいと私は思っています。

亀谷さんにとってVERAとは

マダム

亀谷さんにとって、VERAとは何でしょうか。

亀谷

子どもみたいなものです。産みの苦しみも含め、手塩にかけて育てた大事な子どもですね。

マダム

実感がこもっていますね。亀谷さん、どうもありがとうございました。パルサーの観測に期待しています!