SONYの開発部門で活躍

SONYの開発部門で活躍

マダム

さて、SONY時代の話を抜きにして、金口さんは語れないわけですが、SONYへ入社した理由は?

金口

社員に大学時代の友人がいて、仕事がおもしろいと聞いていたんです。元気がある会社だなと思ったのと、華々しさに惹かれて入社しました。これも作って、あれも作って、ガンガンやるぜ!って感じでしたね。

マダム

当時のSONY製品は社会現象でしたよね。75年にベータマックス、79年にウォークマン、80年代に8ミリVTRハンディカムシリーズ!最初から開発部門にいらしたのですか?

金口

そうです。まずは世界初の放送局専用デジタルVTRの開発をしました。D1とかD2という規格の製品なんですけれど、どの放送局もこれは必要だって買ってくれて、すごく売れましたね。

マダム

いきなり凄い製品を生み出したんですね。そのあと手がけたのは?

金口

そのあとはもうDIRかな。常に平行していろいろなことをやりながらですけど。

マダム

それが、現在VERAで使っているDIRですか?

金口

その機種の前にDIR-1000シリーズをやってました。放送機器の派生機種みたいな製品です。VTRはビデオ、DIRはデータなので、そこがちょっと違うんですが、設計やら部品の精度やら詳しくなってDIR-1000Hという最上位機種も手がけました。

マダム

すごい!DIRの会社を作って独立できるのでは?

金口

いやいや、生産が大変すぎて無理です。マニュアルを作って、指示を出してパッと作れる機械ではないんですよ。すごく人の手がかかっていて、設計側にも作る側にも、微妙なさじ加減をわかっている人が大勢いないと作れない。要するに職人ワザの機械なんです。

DIRの説明をする金口さん
DIRの説明をする金口さん
マダム

ということは、生産終了になった今は作れる人がいないんですね。

金口

そうなんです。いまある機械をずーっと大事に使っていくしかない。
そうしてDIR-1000シリーズより、さらに2倍性能を上げたDIR-2000を天文台に納めたんですね。私はもう別の部署へ異動になっていたんですけれど、DIR-1000の後継機種ですから、メカ部分や部品が似ているので、聞かれたらアドバイスする形で関わっていたんです。

マダム

あれ?SONY製品を検索してもDIR-2000は見つからないんですが。

金口

ないでしょ。あれね、天文台専用機械で、正式な製品としては登録されていません。