イベント・ホライズン・テレスコープ (EHT) は、昨年出版した最初の成果 (史上初、ブラックホールの撮影に成功！) からさらに研究を発展させるために、2020年3月末に世界中の電波望遠鏡を組み合わせた観測を実施する予定でした。しかしながら残念なことに、いくつかの観測局が COVID-19 の拡大に伴い閉鎖されたことから、EHTの観測キャンペーンも中止することになりました。気象条件と天体位置の関係から、好条件でEHTの観測を行うことができるのは3月末から4月初めのみであるため、私たちが再度観測に挑戦できるのは、2021年3月となります。
私たちの科学目標 (日本語ページ、英語ページ) を達成することはもちろん大事ではありますが、それ以上にプロジェクトメンバーとその家族や所属施設、また観測をサポートしてくれる観測局や相関処理施設で働く人々の健康を守ることが、最も大切です。いくつかの観測局が参加できずキャンペーンを中止した昨年に続いて、今年もコントロール不能な事情により観測を中止せざるを得ず、断腸の思いではあります。しかし視点を変えれば、お宝の山とも言える2017年と2018年のEHT観測データと向き合う絶好の機会であるとも言えます。私たちの全ての力を結集して、新たな科学成果の創出に取り組む所存です。
2021年春の観測キャンペーンでは、観測局が11局に増える予定です。私たちは拡張したEHTの観測を楽しみにしています。
EHT 公式ページでのお知らせ (英語)：
http://eventhorizontelescope.org/blog/eht-observing-campaign-2020-canceled-due-covid-19-outbreak
日本語翻訳：田崎文得