酒井さんが天文学者を志したきっかけは?
僕の父が天文好きだったんです。家に天体望遠鏡があって子どもの頃から望遠鏡で月を見たりして親しんでいました。でも天文少年ではなかったかな。僕、星座とかあんまりわからないんですよ(汗)。
天文学者あるある、ですね(笑)。
このプロットが、実際に距離を測る時の指標になるものです(図2を参照)。年周視差を使った三角測量の方法で、Sgr Dの水メーザーの動きを約1年かけて追っていったんです。1年間見ているとSgr Dの位置がわずかにふらつくので、そのふらつきの大きさから実際の距離を測定できます。5つの点は観測をした点です。
1年ってすごいですよね。いままでそれをやった人はいなかったんですか?
はい。世界を見ても、ここの領域で実際にこういう年周視差の測定を使って観測してる人って、ほかにいないんですよね。
それはなぜ?
実際にどんな天体をターゲットにしているかを見ていきますね。この図の左上から右下に斜めに伸びているのが天の川です。端から端までが、夜空でみると分度器の2度くらいの領域になります。
天の川銀河の中心部分ですね。
はじめに酒井さんの現在の立場と仕事内容について教えてください。
僕は国立天文台の特任研究員として、VERAプロジェクトの科学目標である天の川銀河の立体地図づくりを進めています。いわゆる「ポスドク」という立場ですね。2018年4月に配属されたばかりでプロジェクトの中では一番の新人です。学生の頃からずっとVERAで研究をしていたので、VERA歴は6年になります。
若いけどベテランの新人さんですね(笑)。VERAでどんな研究をしているのですか?