国立天文台水沢の特任研究員である田崎さんは、史上初のブラックホールシャドウの撮影に成功したイベント・ホライズン・テレスコープ(Event Horizon Telescope 以下EHT)プロジェクトの主要メンバーのお一人です。おめでとうございます。素晴らしい成果が出ましたね!
ありがとうございます。
EHTプロジェクトで田崎さんはどんな仕事をしているのですか。
私のメインの仕事のひとつは、観測データを目に見えるイメージ(画像)に変換する方法を開発することです。「イメージングツール」と呼びます。可視光の望遠鏡とちがって、電波望遠鏡で観測して得られるデータはただの電圧の変化なんです。それらを相関処理して、さらにフーリエ変換をして…
???
えーと…詳細は省きますが、ただ変換しただけでは不十分なイメージしか得られない。そこを工夫して、スパースモデリングと呼ばれる新しい手法を取り入れ、一気に見やすいイメージを作る方法をEHTチームの一員として開発してきました。
(Credit: EHT Collaboration)
なるほど。非常に重要な役割を果たされたのですね。ということは、田崎さんの研究分野はブラックホール?
そうですね。「活動銀河核」といって、主に銀河中心部のブラックホールやブラックホール周辺のジェットを研究しています。私は学生時代にX線を使った研究をしていたので、X線で見て明るい天体をピックアップして電波で観測し、電波ではどういう風に見えるのか、X線とジェットがどういう風に関係するのか、といったことを調べています。
多波長という観点は独特ですね。観測にはVERAを使っているのですか?
VERAに韓国の望遠鏡を組み合わせたKaVA、そこに中国も加えたEAVN(東アジアVLBI観測網)を使って研究をしています。私はずっとEHTで使うためのイメージングツール開発をやってきたので、その強みを生かしてEAVNでも同様にイメージが出せるようなツールを開発し、それを自分の研究にも生かしたいです。
EHT用に開発したものを、さらに広く使える便利なものに発展させるのですね。あれっ、同じVLBIなのに、どうしてEHTのイメージングツールを、そのままEAVNで使えないの?
記事公開日:2019年4月26日