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デジタルフィルタ試作機完成 (第6号:2000年10月12日発行)
VERAでは、天体が出す電波から必要な周波数幅を切り出すため、デジタル信号処理を用いてフィルタリングを行うシステムの検討開発を行ってきました。
その中枢をなすのが、フィルタリング処理を演算的に行う装置「デジタルフィルタ」で、この度その試作機が完成し、性能評価試験で期待どおりの性能が確認されました。
左下の写真は演算処理を行うボードで、8つのFPGA(プログラム可能なLSI)を並列化させることで2048Mspsという大容量データの高速処理を実現しています。また、右下の写真はフィルタリングされた信号のスペクトルを表しており、期待どおりのフィルタリングが行えていることがわかります。
デジタルフィルタは、従来のVLBI等で用いられてきたアナログフィルタに比べて、極めて高い位相安定度を誇り、また、複数の帯域幅を単一装置で実現できるなど、フィルタとしてすぐれた特徴を備えています。
今回VERAで開発されたデジタルフィルタは、VERAだけでなく野辺山のマルチビーム受信機でも採用が検討されており、今後様々な装置でのフィルタリング処理において大きな役割を果たすことが期待されます。
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![]() デジタルフィルタ試作機のボード。4つのFPGA(銀色の四角)を並列化させ、さらにこのボード2枚を組み合わせて高速度処理を実現。 |
![]() デジタルフィルタ試作機の応答。16MHzのバンドをきれいに切り出している。バンド傾斜は、サンプラ入力時の帯域特性による。 |