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本間希樹 水沢VLBI観測所長が仁科記念賞を受賞

 水沢VLBI観測所長の本間希樹教授が、2025年度(第71回)仁科記念賞を受賞しました。

 仁科記念賞は、故仁科芳雄博士の功績を記念して、わが国で原子物理学とその応用に関して優れた研究業績をあげた比較的若い研究者を表彰するために、1955年に創設されました。ここにいう“原子物理学”とは、原子、分子、原子核、素粒子が関与するミクロからマクロ現象の基礎物理学に限らず、理学、工学、医学等の分野において原子物理学に深い関連のある応用研究も含むものとします(公益財団法人 仁科記念財団ホームページより引用)。

 受賞理由となる業績題目は、「超長基線電波干渉計に基づく超大質量ブラックホール・シャドウ撮像への貢献」です。本間教授はEvent Horizon Telescope(EHT) Collaboration の一員として、一般相対性理論が予想するブラックホールを波長1ミリメートル帯の超長基線電波干渉計により観測し、巨大ブラックホールの影とそれを囲むリング状構造を初めて撮影しました。EHTは、地球上の複数の電波望遠鏡を連携することで地球サイズに匹敵する電波望遠鏡と同等の性能を引き出し、事象の地平線(イベント・ホライズン)近傍の撮影を目的とした国際協力プロジェクトで、本間教授は日本グループの代表としてプロジェクトを牽引しました。日本グループは、チリに建設されたアルマ望遠鏡を観測に組み込むため、フェーズアップ(合成)した信号を標高2900mの山麓施設にある記録装置へ伝送するための光伝送装置の開発を主導し、観測成功へと導きました。また画像の復元に用いられた3つのソフトウェアのうち、スパースモデリングを応用した画像化手法を実装したSMILIと呼ばれるソフトウェアの開発を行いました。このスパースモデリングを用いるアイデアは、他のチームにも採用され取り入れられています。これによりEHTは、2019年4月10日に史上初となる楕円銀河M87銀河中心の巨大ブラックホールについて、また2022年5月12日には私たちの住む地球が属する天の川銀河中心にあるブラックホールについて、撮影された画像を発表しました。

 今回の受賞について本間教授は、「この度、2025年度の仁科記念賞を受賞しましたこと、身に余る光栄に感じるとともに大変嬉しく思っております。この受賞は私一人の力で成し得たものではなく、EHTプロジェクトや国立天文台等の関連組織においてこれまでに一緒に研究を進めてきた共同研究者・スタッフの皆様のお力添えのおかげですので、すべての関係者に心から御礼申し上げます。今回の受賞を励みにさらに研究を発展させていく所存ですので、今後とも関係者の皆様からのご支援を賜れれば幸いです。」と述べています。

関連ページ

公益財団法人 仁科記念財団
2025年度(第71回)仁科記念賞 受賞者と業績(PDF)(仁科記念財団)
本間希樹教授が仁科記念賞を受賞(国立天文台)
史上初、ブラックホールの撮影に成功
 ― 地球サイズの電波望遠鏡で、楕円銀河M87に潜む巨大ブラックホールに迫る
(国立天文台)
史上初、ブラックホールの撮影に成功!
 地球サイズの電波望遠鏡で、楕円銀河M87に潜むブラックホールに迫る
(EHT-Japan)
天の川銀河中心のブラックホールの撮影に初めて成功(国立天文台)
天の川銀河中心のブラックホールの撮影に初めて成功(EHT-Japan)

画像等