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水沢VERA観測所にある旧本館は、旧緯度観測所の本館として大正年代に建て
られ、その独特のたたずまいが市民に親しまれています。この度、地元奥州市
に移管される方向で、保存と活用計画が現在検討されています。
イーハトーブ宇宙展は、旧本館の啓発事業の一つとしてNPO法人・イーハト
ーブ宇宙実践センターが主催、国立天文台と日本宇宙少年団水沢Z分団が共催
という形で開催されました。地元の繁華街にあるメイプルを会場に、平成18年
12月9日から17日までの9日間に渡って水沢VERA観測所の緯度観測所時代からの
様々な写真や資料、観測機器等が展示されました。水沢VERA観測所からは、眼
視天頂儀2号機、リーフラー振り子時計といった木村記念館で展示している貴
重な歴史的機器を多数貸し出し、展示しました。また、水沢地区で近年開発さ
れた可搬型重力計(本物)や本年打ち上げ予定のSELENE衛星の模型、VERA説明
パネル等も貸し出しました。JAXAから借用したH-UAロケット模型や国際宇宙
ステーションの模型なども飾られ、宇宙研究・開発についての最新の事項も見
ることができるユニークな展示会になりました。9日間の入場者数は1428名で、
天文台への関心の高さが反映された結果だと言えそうです。
イーハトーブ宇宙展の会場の様子。眼視天頂儀2号機(左)と
VERA説明パネルを読む見学者(右)
眼視天頂儀2号機展示に力を発揮されたOBの高野さん。
宇宙服を着て記念撮影。
地元の保育園園児の共同制作のコーナーもありました。
2日目の10日午後には講演会も行われました。ほぼ満員の会場では、国立天
文台水沢VERA観測所の真鍋盛二教授によるZ項の解明史の講演と、JAXA広報担
当の高橋理佳主査(地元出身)によるJAXAの最新の面白い話がありました。
講演会でZ項の質問に答える真鍋教授。
講演会で宇宙食を説明する高橋主査。
今回は眼視天頂儀などの機器の移設に際して、戦前から旧緯度観測所で眼視
天頂儀の調整をされたOBの高野さん等、多くのOBの方々の協力があって初めて
実現しました。今後、旧本館の奥州市委譲後の公開の際には、これらのOBの方
々の力もお借りしながら、市民に優しい公開方法を実現できると、とても素晴
らしいのではないかと思います。
「国立天文台ニュ−ス No.164より転載」<水沢VERA観測所 亀谷 收>
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