★石垣島全島ライトダウンでよみがえった天の川
     − 8月2〜3日、伝統的七夕行事「南の島の星まつり」を開催 −

 

   石垣島全島ライトダウンでよみがえった天の川

    ライトダウンされると星空観望会の会場サザンゲート広場の
    夜空いっぱいに天の川がよみがえり、大きな歓声と拍手がお
    きた。八重山星の会・大島裕さんが撮影したこの映像は、そ
    の夜のうちに時事通信から、そのニュースとともに世界に配
    信された

 「3、2、1…、ゼロー」、カウントダウンが、終わった瞬間、広場の街灯が
一斉に消え、市街地の灯りも次々に消えていきました。暗闇に目がなれ、珊瑚
礁の海から頭上に流れる天の川がはっきりと見えてくると、「オォー!」とい
う声があちこちで起き、会場に集まった9000人の参加者の間には、大きな拍手
が広がりました。
 8月2〜3日に開催された、石垣島での「南の島の星まつり2003」は、今年2度
目にして、全島ライトダウンを実現したのです。
 国立天文台では、2001年から「伝統的七夕」キャンペーンの呼びかけをして
います(
http://www.nao.ac.jp/tanabata.html )。石垣島では、昨年8月に
VERA観測局ができたのをきっかけに、この「伝統的七夕」に賛同して、初めて
の「南の島の星まつり」を開催したところ、2000人もの参加者があり、大成功
をおさめ、星空への関心の高さに市の関係者を驚かせました。
 今年の第2回は、大濱市長を委員長とする実行委員会が作られ、主催者団体
に昨年の石垣市役所、同教育委員会、八重山星の会に加え、沖縄総合事務局石
垣港港湾事務所が参加、また市民団体である「いしがき市民大学」も講演会実
施を引き受けてくれ、石垣市挙げての取り組みとなりました。
 とは言っても、石垣島全島は渋谷区よりも広く、年間5-60万の観光客が訪れ
る人口4万5千人の日本最南端の自然文化都市で、多くのホテルや、全国有数の
盛り場もあり、どう実現するかは大変な課題でした。市役所職員や星の会のメ
ンバーは、飲食店や商店、家庭にも、一軒一軒に足を運んでお願いをして回っ
てくれました。

   会場のサザンゲート広場

   会場のサザンゲート広場(石垣港新港地区)には、大勢の市民や
   観光客が明るいうちから集まった

 そうして、8月2日午後8時を迎えたのでした。蘇った天の川をそのまま芝生
に寝そべって見る人もたくさんいました。用意した10台の望遠鏡には、親子や
カップルの長い列ができ、天文台や星の会のメンバーが説明や操作に忙しく立
ち回っていました。舞台のスクリーンには、星の会のメンバーが高感度ビデオ
カメラで、次々に月や天の川を映し出し、解説をしました。参加者はスクリー
ンと星空を交互に指差し、説明される星々を確認しあっていました。わずか一
時間のライトダウンでしたが、終わった後で、市民の方だけでなく、北海道や
北陸、関東などから来られた方々も、スタッフのところにやってきて、「すば
らしかったです、また来年もきます」とお礼を述べていました。

   望遠鏡のまわりの親子

      望遠鏡のまわりには親子で観望を楽しむ風景が

 翌3日には、海部台長と本成「星の会」副会長による記念講演会が健康福祉
センターで開催されましたが、最初の挨拶に立った大濱市長は昨夜の感激が覚
めやらぬようすで「ライトダウンは、市民みんなが協力して大成功だった。来
年はさらに徹底してやりたい」と、早くも来年への意欲をみせてくれました。
海部台長は、講演の中で、おもろ草紙の歌謡も紹介しながら、「国立天文台が
提唱してきたが、ロマンに満ち溢れている沖縄の石垣島で、最初に実現できる
なんて、たいへんな感激です」と感謝を述べました。講演会には、150名あま
りの参加がありましたが、講演後の懇談会でも、何人から、「天の川を見て感
動した。これからも続けて欲しい」と、期待が寄せられました。

   記念講演

     記念講演の後は、質問に答えながら参加者と懇談

 「南の島の星まつり2003」は、この他に沖縄県立少年自然の家で「銀河と宇
宙の写真展」が、VERA石垣島観測局で施設公開が行われ、二日間で、1万1千人
を越える参加者がありました。
   「国立天文台ニュ−ス No.125より転載」 <VERA推進室 宮地竹史>