VERA小笠原局、施設を公開

 

 昨年のVERA小笠原局の開所式から1周年にあたる11月16日〜18日の3日間、小
笠原局の施設公開と天体観望会を開催した。公開日を3日間としたのは、地元
の小中学校の学校行事の日程や、父島に滞在中の観光客がいつでも見学できる
ようにと配慮したものである。

 小笠原局観測棟内

 施設公開には、天文台の柴田・酒井・イシツカ・堀合の4名の他、現地アル
バイトにも手伝いを頼み、準備を調えた。気になる天気は、初日は朝方雨がぱ
らついたものの曇時々晴のまずまずの天気で、期間中概ねそのような天気であ
った。初日、小笠原局には10時の開場を待ちきれない見学者がはやばや集まっ
た。初日の見学者数は52名で、VERAの説明や天文台の紹介ビデオをゆっくり見
ていただいた。

 小笠原局20m鏡アンテナ前

 天体観望会は場所を変え、町に近い大神山公園・お祭り広場で開催した。夕
刻あいにく天気が思わしくなく、観望会に協力いただいた地元の小笠原天文倶
楽部と相談し、観望会は翌日に延長ずることにした。それでも、望遠鏡の調整
を行っていると20名程の人が集まり、雲間をとおして、月や土星を望遠鏡の視
野に入れて見せると皆感激していた。翌17日は、午後から見学者が増えて47名
を数えた。夜の天体観望会は幸いくっきり晴れ渡った星空となった。小笠原天
文倶楽部の人達を含めて総勢80名程の人が集まり、土星・月・アルビレオの二
重星等の観望に会場は歓びの声であふれていた。
 最終日の18日は休校日にあたり、小中学生の参観を期待したが思った程に見
学者数が伸びなかった。全体に見学者が少なかった理由として、VERA局の所在
地が島の山岳道路沿いに位置し、手軽にレンタサイクルでは立ち寄れない、徒
歩なら町から1時間半もかかるという立地のためかもしれない。天体観望会に
は小中学生の参加も多数あり、足の確保を配慮すればもう少し参加人数を増や
せたとの念が強く感じられた。

「国立天文台ニュ−ス No.115より転載」
                   <水沢観測センター 堀合 幸次>