VERA着工

 

 銀河系の立体構造を探るVERA(天文広域精測望遠鏡)計画が、いよいよ着工
の時期を迎えた。
 VERAは4つの観測局から成る計画だが、昨年度の第二次補正予算で、まず3局
の建設が認められた。そのうち、水沢局(岩手県)と入来局(鹿児島県)では、
7月下旬からアンテナ基礎の工事が始まった。父島局(東京都小笠原村)でも、
8月後半には建設が始まる。およそ3ヶ月後には、基礎は完成し、アンテナ本体
の組み立て、調整に入り、今年度いっぱいで、VERAシステムの建設が完了する。
そして、2001年度には、国立天文台と鹿児島大学等の関連研究者が総掛かりで、
相対VLBIシステムを立ち上げ、試験観測を開始する。
 観測局着工という機会に、水沢では7月10日、入来では7月13日に、お世話に
なる地元のみなさんに、VERAの概要と工事日程を説明する会を開いた。

  水沢局のくわ入れを行う海部台長

         水沢局のくわ入れを行う海部台長

 水沢市では、水沢観測センターのけやき会館会議室に、後藤市長をはじめ、
岩手県水沢振興局長、観測センター周辺の町内会代表、基礎工事を担当する業
者のみなさんをお招きし、海部台長が挨拶し、計画を代表して笹尾が説明した。
 また、入来町では、観測局敷地に隣接する入来城山ゴルフ倶楽部のレストハ
ウスの会場をお借りし、福元町長をはじめ入来町の幹部のみなさんと、鹿児島
大学の田中学長、井上理学部長、西中川農学部長、農学部入来牧場のみなさん、
理学部宇宙情報講座のみなさん、担当業者のみなさんなど、多数のご出席を得
て、盛大な会を持つことができた。田中学長と海部台長からご挨拶をいただき、
VERAグループを代表して鹿児島大学理学部の面高教授と笹尾が説明を行なった。
 いずれの会でも、参加した地元のみなさんから、暖かい歓迎と期待、励まし
の言葉をいただいて、感激するとともに、身の引き締まる思いだった。
 鹿児島では、説明会に先だって、鹿児島大学構内で、「鹿児島大学と国立天
文台との天文学に関する教育研究の連絡協議会」第1回会合が開かれ、学長、
台長、理学部長、企画調整主幹ほか関係者の出席のもとに、VERAの建設、運用
をはじめとして、今後の協力について話し合った。これは、今年の1月28日に
田中学長と当時の小平台長が取り交わした「天文広域精測望遠鏡鹿児島局設置
に関する合意書」の精神を具体化したもので、大学と大学共同利用機関の協力
の在り方として、良い例のひとつにしていきたいと思っている。
 これらの会合を開く上で、国立天文台及び鹿児島大学の管理部のみなさんに、
企画から実行まで、全てにわたってひとかたならぬお世話をいただいた。記し
て感謝したい。

  連絡協議会

  鹿児島大学と国立天文台との天文学に関する教育研究の連絡協議会

「国立天文台ニュ−ス No.88より転載」<地球回転研究系教授/VERA推進室 教授 笹尾哲夫>