大気とマントルの角運動量

 

  LOD & AAM

マントルの角運動量変動を表す一日の長さ(LOD、上図 : ゴダード宇宙飛行セン
ターがVLBIデータを解析して得たもの)と大気の角運動量変動(AAM、下図 : 気象
庁による)のウエーブレット変換による時間・周期スペクトル。 縦の断面はある
瞬間におけるこれらの変動周期の各成分の強さを表し、横の断面はある周期成分
の強さが時間と共にどう推移したかを示します。赤と紺はそれぞれ変動の山と谷
に相当し、変動の強さは下段のカラースキーム(単位は千分の一秒)によっていま
す。両者とも季節変動と永年変動の成分は除去されています。数10日から数年の
時間スケールでの二つのスペクトルの見事な一致は、この時間スケールで大気と
マントルがほぼ完全な角運動量保存系にあることを意味しています。 LODの14日
周期と28日周期付近に見られる縦縞模様はマントルの潮汐効果の反映で、30日か
ら100日までの周期帯に見られる間欠的な変動は赤道対流圈の30日-60日振動の反
映です。また、800日周期近傍では赤道成層圈の準2年振動とエルニーニョの影響
が見られます。特に、1983年付近の LODの顕著な変動は観測史上最大のエルニー
ニョ現象の反映です。                    <内藤 勲>