|
ネットワーク時刻同期システムの運用
天文保時室では水沢観測センターでネットワーク時刻同期システムのサーバー運用
を開始しました。ネットワーク同期システム (NTP:Network Time Protocol) は、イ
ンターネットのような広域ネットワークでネットワーク上の計算機同士の時刻を同期
させるためのプロトコル (protocol、通信方法の取り決め) です。NTP では、協定世
界時 (UTC) に同期した時計が組み込まれた計算機がネットワークに接続されている
事が前提となっており、NTP 時刻同期ソフトウェアが走っている計算機であれば計算
機内の時計をネットワークを通じて協定世界時 (UTC) に合わせ込むことが出来ます。
NTP のしくみ
NTP システムはもともと unix 計算機の時刻同期を主眼に考え出されました。
NTP は、ネットワーク上の時刻情報を提供する計算機 (NTP サーバー) と時刻情報
の提供を受けて内部時計を合わせ込む計算機 (NTP クライアント) によって構成され
ます(図1参照)。
図1:サーバーとクライアント
NTP サーバーは、最も精度が高く UTC に同期しているものから stratum(階層)1,2,
3・・・・とランク付けされたツリー構造になっており、互いに階層の高い方から低い
方へ時刻同期を行う仕組みになっています(図2参照)。
図2:NTP サーバーのツリー構造
水沢観測センターの NTP サーバー
国立天文台・保時室では、三鷹で stratum1 サーバーとしてセシウム原子時計に照
合した NTP サーバーを運用しています(写真1参照)。
また、保時室では水沢観測センターで GPS 受信機を用いて GPS-UTC に時刻同期す
る stratum1 NTP サーバーを運用しています。カーナビゲーションで広く知られてい
る GPS では、3次元位置と共に受信機の時計面も同時に求めており、精度良い UTC
時刻を得ることが出来ます。水沢観測センター設置の GPS NTP サーバーでは、機構
的に GPS の UTC 時計面に数マイクロ秒 (10万分の1秒) で照合できるシステムを採
用しています(写真2参照)。また、このサーバーの 1 秒信号は、天文保時室所有
のセシウム原子時計群や GPS 時刻比較受信機による高精度国際時計比較システムで
モニターしています。
![]() |
![]() |
写真1:Cs 時計照合 NTP サーバー cesium.mtk.nao.ac.jp (三鷹) |
写真2:GPS-UTC 時計面照合 NTP サーバー gpsntp.miz.nao.ac.jp (水沢観測センター) |
![]() ![]() |