2001年施設公開

 

 さる 6月23日(土)の10時から16時にかけて、水沢観測センターの施設公開が
行われました。 例年水沢地区の施設公開は市内小中学校の休校日に当たる6月
の第二又は第四土曜日に行われています。今年はVERA水沢局完成記念式典の翌
日の第四土曜日に設定されました。心配していた天候も曇天から晴天へ推移し
、また当日の各紙朝刊に大きくVERA20m鏡が紹介された事もあり、2000人を超
える来場者数となりました。受付や駐車場係は開始時間前からの来場者への対
応で大忙しで、公開案内図を増刷したり抽選で当たる宇宙食も午前中で無くな
る程の盛況でした。
 施設公開の内容ですが、普段から公開している木村記念館では、100年に及
ぶ臨時緯度観測所時代からの展示物に加え、今回新たに「ゴールドメダル」等
の展示物を追加したほかに、本館ロビーでの各種研究の紹介、けやき会館での
月探査計画(SELENE)の紹介とコンピュータグラフィックス上映、屋外では10m
鏡やVERA20m鏡を含む新設VERA水沢局の紹介及び天体望遠鏡による太陽黒点観
測、旧本館では計算機や時計装置の変遷紹介、本館会議室での講演会などが企
画されました。
 本館会議室では、海部天文台長による「地球に似た惑星は存在するか?」及
び川口則幸教授による「電波で見る宇宙と銀河」と題する講演会が行われまし
た。会場の関係で50席しか準備出来ず20人程が立ち見となる盛況で、台長によ
るすばる望遠鏡の建設から最新の観測成果を踏まえた地球に似た惑星への展望
や、川口教授による超長基線電波干渉計やVERAの紹介及びVERAによる研究の抱
負が話されました。
 本館ロビーでは、動画として公開されている天体電波像をプロジェクターを
使って紹介したり、レンズアンテナの実物展示、体温を電波として検出する実
験、GGPや中央標準時の説明パネル展示が行われました。
 けやき会館では、測月学(RISE)グループが会議室で月探査計画のSELENE打ち
上げの模様をコンピュータグラフィックス化した動画を上映し、ロビーでは月
面望遠鏡模型の展示及び月探査の歴史、SELENE計画、RISE計画に関する説明パ
ネル展示、レーザ測距計の実演などが行われました。また、実際に触って見る
事が出来る模擬の月の砂も好評でした。


 月探査計画

          月探査計画(SELENE)の紹介風景

 屋外の10m鏡とVERA20m鏡では、電波望遠鏡説明パネル展示やVERA概要やVERA
20m鏡の説明パネル展示が行われました。VERA20m鏡の前では記念写真を撮る人
が多く、パネルの前では説明者の周りが人だかりとなっていました。また、駆
動制御パソコンをテント内へ準備しての、10m鏡操作及び電波天体追尾体験は
大きな感動を与えていました。
 天体望遠鏡による太陽黒点観測は、太陽活動極大期と言う事もありたくさん
の黒点が観測出来、天文現象への興味をかき立てていました。
 旧本館では、計算機博物館と銘打って、初の電卓そしてパソコンへと計算機
器の実機展示及び、水沢で導入した歴代の電子計算機のパネル展示が行われま
した。タイガー計算機や初期のパソコンを懐かしく動かしてみたり、じっくり
時間をかけ見入っている人たちが多く見受けられました。隣室では時計博物館
として、振り子時計や原子時計の展示及びパネル展示が行われました。
 例年の水沢地区施設公開は小中学生の比率が多いのですが、新聞などによる
VERA水沢局新設報道の効果で、今年は多くの年輩の方々が熱心に見学なさって
いる姿が目に付きました。来場者にお願いした施設公開内容についてのアンケ
ートによりますと、電波望遠鏡群や木村記念館及び実際に触ったり操作出来た
企画が印象強く残った様です。
                 「国立天文台ニュ−ス No.98より転載」