2002年施設公開

 

 6月8日(土)10時〜16時、水沢観測センターの施設公開が行われました。例年
水沢地区の施設公開は6月の第2又は第4土曜日に行われています。幸い朝から
天候に恵まれ、約1000人の来場者数となりました。今年は職員が黄色いスタッ
フジャンパーを着用し、来場者が一目で分かるようにしたり、昨年のアンケー
ト結果をふまえて所内数箇所で冷たいお茶のサービスをするなど、来場者への
配慮が一歩進んだ施設公開となりました。
《施設公開の内容》
 木村記念館では、100年に及ぶ臨時緯度観測所時代からの資料を展示しまし
た。本館ロビーでは、講演会と連動した「星の大きさを測る」研究のポスター
や、超伝導重力計を用いた地球ダイナミクス研究のポスターの展示と来場者へ
の説明が行われました。各展示コーナーに足を運ぶことで答が分かるようにな
っているクイズの答え合わせと記念品の受け渡し、天文台グッズの販売もロビ
ーで行われました。今年は天体写真の絵葉書と星座早見表が記念品として用意
されました。グッズ販売ではすばるのTシャツが良く売れていました。
 本館会議室では、佐藤弘一氏による講演会が行われ、50人を越す聴衆が光干
渉計を用いて星の大きさを測る話に聞き入りました。
 けやき会館では、測月学(RISE)グループが会議室で将来の月利用に関するビ
デオと水沢観測センターの紹介ビデオを上映し、ロビーでは月探査計画の歴史
やRISE計画の概要説明が行われました。新企画で大人気だったのがサッカーボ
ール型惑星ペーパークラフトで、予想以上の方が興味を示し、自宅へ持ち帰っ
たり現場で1時間以上掛けて作成していかれました。RISE関係者はペーパーク
ラフトのコピーで大忙しでした。


 ペーパークラフト

    サッカーボール型惑星ペーパークラフトに興じる子供達

 RISE関連では、他にも、月の地形を調べる装置(レーザー高度計)の試作機
が絶対重力計室で公開され、振動実験装置の実演が行われました。試作機とは
いえ、衛星搭載機の実物を前にして多くの質問が担当者に投げかけられていま
した。
 屋外では、やはり、VERA20m鏡の周りに人だかりができました。アンテナの
前で記念写真を撮る人、駆動制御パソコンの簡単なキー操作で大きなアンテナ
が正確に動くことに驚く人、説明パネルの前で熱心に職員の話に耳を傾ける人
など様々な反応が見られました。今年は特に、アンテナ内部見学の時間が設け
られ、見学開始時間になる度に長い行列ができました。
 天体望遠鏡による太陽黒点観測も好天に恵まれて大成功で、別の望遠鏡では
昼間ながら金星を自動追尾で捉えていたこともあり、来場者の天文現象への興
味をかき立てていました。


 金星観測

      太陽黒点及び金星観測風景(後方は20mアンテナ)

 旧本館では、計算機博物館と銘打って、初の電卓からパソコンまでの計算機
の実機展示と、水沢で導入した歴代の電子計算機のパネル展示が行われました。
タイガー計算機や初期のパソコンを懐かしく動かしてみたり、じっくり時間を
かけ見入っている人たちが多く見受けられました。隣室では時計博物館として、
振り子時計や原子時計の展示及びパネル展示が行われました。
 今年も暑い中、小・中学生から年輩の方まで熱心に見学していただき、これ
からますます質の良い研究を行い、成果を一般の方々に分かりやすく説明して
いく必要があることを職員一同改めて認識した日になりました。<松本晃治>
                 「国立天文台ニュ−ス No.109より転載」