2003年施設公開

 

 さる6月14日(土)の10時から16時にかけて、水沢観測センターの特別公開が
行われました。当日は曇り空ながらも時折日の差す見学日和となり、約1000人
の来場者数となりました。

<施設公開の内容>
 木村記念館では、100年に及ぶ臨時緯度観測所時代からの資料展示の他、5月
26日の宮城県沖地震を水沢の地震計が記録した結果を説明展示しました。
本館ロビーでは、去年作成した水沢の紹介ビデオ「不思議の星地球」の上映、
超伝導重力計による地球ダイナミクス研究のポスター展示、クイズと質問への
対応の他、天体や宇宙についてより身近に感じてもらおうと、VERAアンテナや
お好みの星雲の缶バッチをつくるコーナーとOBの方による「月と銀河の写真展」
を設けました。特に缶バッチコーナーは終日子供たちで賑わいました。

   缶バッチコーナー

          子供たちに大人気の缶バッチコーナー

 本館会議室では、内藤勲夫教授による「何がチャンドラーウォブルを揺さぶ
っているか -- 答は風の中に -- 」と題した講演会が行われました。
前身の緯度観測所がチャンドラーウォブルの動態を見届けようとして開設され、
その原因がグローバルな風の変動であることが分かったこと、その成果が地球
環境の観測や対応に役立っていることなどが話されました。
 けやき会館では、RISEグループが、月探査計画のビデオ上映とSELENE計画、
RISE計画に関する説明パネル展示の他、手回しジャイロや地球と月の1億分の1
の模型を用意し、来場者にジャイロ効果や距離の感覚を体験していただきまし
た。またRISE実験室ではレーザー高度計や模擬月砂、真空実験装置の説明が行
われました。
 10mアンテナとVERA20mアンテナの公開では、10mと20m鏡による追尾実演と20m
アンテナ底部の受信室の見学が行われました。見学では時間前から長い行列が
でき関心の高さがうかがわれ、見学者からは、「アンテナが動くところや電波
を受信する装置を直接見ることができてとても良かった」という声が聞かれま
した。VERA観測棟では、観測装置について説明する職員に熱心に質問をする人
もいました。

   電波望遠鏡

         電波望遠鏡の受信室を見学する来場者

 20m鏡の東側にロケット広場を設け、ペットボトルを用いた水ロケット飛ばし
を行いました。今回は市内の小中学生にペットボトルロケットを自作して飛ば
そうとお知らせしていたのですが、自作してきた子供は2人だけ。結局職員ス
タッフが用意した5個のロケットがフル回転、空気注入係や修理係は休みなし
の大奮闘でした。ロケットが発射する瞬間や大きな放物線を描いて飛んでいく
姿に子供たちから大きな歓声が上がっていました。
 天体望遠鏡による観測は曇り空のため太陽や惑星の観測はできず、代わりに、
遠くに置いた月や惑星の写真を望遠鏡で眺めてもらいました。
 旧本館内の計算機博物館では計算尺から初期の電卓、パソコンまでの実機展
示とパネル展示、隣室の時計博物館では振り子時計や原子時計の展示及びパネ
ル展示が行われました。
 今年も多くの皆さんに見学していただきましたが、中高生の来場が少なかっ
たのが一寸残念でした。最新の研究成果の紹介はもちろんのこと、地域の若い
人たちにもっと興味をもってもらえるような工夫も必要であると感じました。
           <石川利昭>「国立天文台ニュ−ス No.122より転載」