機械系の技術職員でいらっしゃる上野さんですが、昔から機械に興味をお持ちだったんですか?
中学生のとき、技術の授業で農機具のエンジンを分解したんです。その時におもしろいと思ったのがきっかけで、車のエンジンに興味を持ちました。高専の機械科を卒業してレーシングカーを作っている群馬県の会社に就職しました。
車のチューニングとかをする、メカドックですか?
メカドック的な感じです(笑)。
あの...「よろしくメカドック」っていう漫画、知ってます?
知ってます!セリフを覚えるほど何回も読んでます。
じゃあ「頭文字D(イニシャル・ディー)」とかも…?
もちろんです!じつは主人公と同じ「ハチロク」に乗ってました。ハチロクに乗って群馬にいたわけですから、当然、頭文字Dの舞台になった群馬の山々を駆け巡ってましたよ(笑)。
天文台に就職するまでは紆余曲折ありまして。じつは前の会社を退職するころロッククライミングに出会って、どっぷりハマっちゃったんですよ。その後、退職してワーキングホリデーでニュージーランドへ行ったんです。
そうなんだ。
ニュージーランドもけっこうクライミングが盛んだったので、私も盛んにやってました(笑)。ワーホリのビサが切れて実家に帰ってきて、もう少しクライミングをがんばりながら勉強したい事があって、ある程度の学費を稼げる仕事を捜していたんです。そうしたら、あったんですよ!あそこに!
ど、どこに何があったんですか?!
ハローワークにですよ!たまたま、ここの募集があったんです。それで応募したら、非常勤職員として採用していただけたんです!
小中学生のときは星好きで、親にせがんで小さい反射望遠鏡を買ってもらって木星、土星、月あたりに向けていました。私の出身の衣川(現:奥州市衣川区)は星空日本一のコンテストで何度か一位になっていて、星がきれいなんです。
わあ。このあたり、本当に星がきれいですものね。
緯度観測所だった頃の天文台の公開日にも何度か来て、屋上の望遠鏡をのぞかせてもらった思い出があります。昔遊びに来ていた天文台に採用してもらえるなんて嬉しいですね。
国立天文台水沢VLBI観測所の技術職員としてVERAアンテナ4局の機械系保守、開発、観測の運用支援を行っています。仕事で着用するツナギは機能性とデザインにこだわって選び、現在6着を所持。長期の出張が多いので、自宅では家族との時間を大事にしつつ家事をして体を動かします。趣味はロッククライミング。
80年代の車漫画の金字塔的作品。作者は次原隆二。1982年~85年に週刊少年ジャンプで連載された。メカドックはMechanical Doctor(車の医者)の略で、実在の国産市販車をチューニングすることで性能向上を図り、速度を競うというリアルな内容だった。
峠道において自動車を高速走行させる走り屋の若者たちを描いた漫画作品。作者は しげの秀一。1995年~2013年に週刊ヤングマガジンで連載された。上毛三山パノラマ街道や旧碓井峠など群馬県が舞台。
トヨタ・スプリンタートレノ・AE86型=通称ハチロク。頭文字Dの主人公の愛車である。
衣川の星空は平成4年の夏と翌5年の冬に、2年連続で全国星空継続観測の星空日本一に輝いた。