本間希樹 EHT 日本チーム代表の林忠四郎賞受賞が決定

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EHT日本チームの本間希樹代表が、2020年度日本天文学会林忠四郎賞を受賞することが決定しました。林忠四郎賞は、天文学関連の幅広い分野での独創的な学術研究に対して授与される賞です。本間代表がこれまで推進してきた、VERAを用いた世界最高精度の位置天文観測で銀河系構造を明らかにした研究や、EHTによるブラックホール・シャドウの直接撮影への貢献が評価され、受賞に至りました (詳しい受賞理由: 外部ページ)。

この受賞のニュースを受けて、EHTメンバーを含む国内外の共同研究者から非常に多くの祝福のメッセージが寄せられています。本間代表は「今回、VERAやEHTでの研究成果が認められて林忠四郎賞の受賞となったこと、身に余る栄誉として大変嬉しく思っております。私のこれまでの研究は多くの共同研究者の協力なしには達成できなかったものであり、これまで一緒に研究をしてきたすべての共同研究者の方々、そして様々な形で研究を支えてくれた関係者の皆様に、この場を借りて心からお礼申し上げます。以下にもありますように、多くの研究者仲間からたくさんのお祝いの言葉をいただいており、今回の受賞をさらに嬉しいものとしてくれました。末尾になりますが、今後とも良い研究成果を出すべく研究を続けたいと思っており、引き続き皆様からご支援をいただければ幸いです。」と述べています。

EHTメンバーを含む国内外の共同研究者からの祝福メッセージを、以下に掲載します (氏名の五十音順、アルファベット順)。

「おめでとうございます!EHTの黎明期から一緒に研究を進めてきた元指導学生、現共同研究者として今回の本間さんの受賞を本当に誇らしく思います。今後もEHTやVLBIによるブラックホール研究だけでなくいろいろな面白いテーマで研究を一緒にやっていきましょう。」
マサチューセッツ工科大学 秋山和徳

「この度の受賞おめでとうございます。2008年のDoeleman et al.の発表でいよいよブラックホールの影が見えるかもとコミュニティーの期待が膨らんだ際に、その頃は位置天文学に研究の主軸を置かれていた本間さんがいち早く日本も参加しなければと危機感を募らせて動かれたことを今でも覚えています。今後も引き続き我々を牽引してください。」
中央研究院天文及天文物理学研究所 浅田圭一

「おめでとうございます。天文学の成果はもちろんですが、天文学にとどまらない、他分野との共同研究に関する本間さんの先見の明がEHTの成功につながったと思います。これからも面白い研究を続けていきましょう。」
統計数理研究所 池田思朗

「先日偶然に、本間さんおよびEHT関係の方々が、どの様に困難を乗り越えながらブラックホール・シャドウの撮影成功に至ったのか、拝聴する機会に恵まれました。今回の受賞報告は自分のことの様に嬉しかったですし、個人としても頑張っていかなければと、背中を押して頂きました。本当におめでとうございます!」
韓国天文研究院 坂井伸行

「林忠四郎賞受賞おめでとうございます。本間さんが日本のEHTチームの中心として牽引されたからこそ日本の活躍、ひいてはEHTによる世界的な成果につながったと思います。これからも、EHT日本チームの大黒柱として、さらには日本のVLBIコミュニティーの中心メンバーとしてさらなるご活躍を大いに期待させていただきます。」
広島大学宇宙科学センター 笹田真人

「15年前に初めてお会いした時から変わらぬ本間さんの天文学への情熱と真摯な姿勢、および類希なる牽引力が、この度のブラックホール影の撮影という、世界が驚愕した画期的な成果をもたらしたことと思います。今後もVLBIコミュニティおよび電波天文学のシンボルとして、若手を牽引していって頂けますと幸いです。今回の受賞、本当におめでとうございます!」
タイ国立天文学研究所 杉山孝一郎

「おめでとうございます!本間さんからVLBIの研究グループに迎えていただいて6年、電波天文学を牽引する本間さんの間近で、一緒に仕事ができたことを、とても嬉しくそして誇りに思っています。今後も一緒にVLBI研究を盛り上げていければ幸いです。」
国立天文台水沢VLBI観測所 田崎文得

「林忠四郎賞受賞おめでとうございます!ブラックホール影の撮影によって、日本のブラックホール宇宙物理の理論研究も盛り上がってきています。EHTCにお誘いいただき大変光栄でした。これからもVLBIを使った研究に理論から大きな貢献できるよう尽力したいと思っています。アジアのVLBI研究者の前向きさにいつも元気をもらっています。これからもよろしくお願いします!」
東北大学 當真賢二

「私が学部生として国立天文台に来た20年前と比べると、現在の日本におけるVLBI天文学研究は、劇的に進展したと思います。その変革の中心には、いつも本間さんがいました。周囲をうまく巻き込み、面白いことに対して常に前向きに協力してくださる姿勢にはいつも感銘を受けます。これからも、日本だけではなく、世界のVLBI・電波天文学を牽引していってくださると信じています。今回の受賞、まことにおめでとうございます。」
国立天文台アルマプロジェクト 永井洋

「受賞おめでとうございます。VLBIの高い視力を活かして銀河系地図からブラックホール撮影まで天文学の幅広いテーマでフロンティアを切り開いてこられた姿勢は常に見習うべき姿であり、これから天文・宇宙の研究を目指す若者にも大きな夢と希望を与えると思います。ただ、定年までまだ時間はたくさんありますので、引き続き水沢・岩手・日本・世界を盛り上げていきましょう!」
国立天文台水沢VLBI観測所 秦和弘

「VERAの立ち上げによるVLBI銀河系位置天文学の確立、EHTでの初めての超巨大ブラックホール撮像は、共に天文学・宇宙物理学に大きなブレイクスルーをもたらしました。今後のアジアからグローバルVLBIへのさらなる発展でも中心的な活躍を期待しています。おめでとうございます!」
国立天文台水沢VLBI観測所 廣田朋也

「受賞おめでとうございます! East Asian Observatory (EAO) の一員として2017年に皆で一緒に James Clerk Maxwell Telescope (JCMT) でEHT観測を実行し、成功させ、その結果がこの成果に繋がったと思うと非常に感慨深いです。これからもEHTで一緒に面白い成果を出していきましょう!」
台湾中央研究院天文及天文物理研究所・EHT理事(台湾代表)松下聡樹

「おめでとうございます。EHT日本チームだけでなく、日本のVLBI・電波天文学コミュニティにとってとても素晴らしいことです。今後もEHT日本チームそして日本のVLBI・電波天文学を引っ張っていって下さい。」
上海交通大学李政道研究所 水野陽介

“I am very pleased but not at all surprised to see my friend and colleague Honma-san recognized for this distinguished award. He is an international leader in not one but many areas of radio astronomy. In our project to provide the first image of a black hole, he has been an inspirational and thoughtful leader in science, technology, and project management, providing many insights and wise counsel. Honma-san was also a very generous host during my visit to Mizusawa Observatory, where he introduced me to his vibrant research group and gave me a guided tour of the local temples.”
「友人であり同僚でもある本間さんがこの素晴らしい賞を受賞したことをとても嬉しく思います。ですがまったく驚いてはいません。彼は電波天文学の多くの分野を国際的に牽引しています。ブラックホール初撮影を成功させた私たちのプロジェクトでは、科学、技術、およびマネージメントの面で、メンバーを鼓舞し、思慮深く引っ張っていく存在です。そして多くの洞察と助言をもたらしてくれます。本間さんは、私が水沢VLBI観測所を訪れた時もとても思いやりをもって迎えてくれました。活気ある彼の研究グループを紹介し、地元の寺院を案内してくれました。」
台湾中央研究院天文及天文物理研究所・EHTプロジェクトサイエンティスト Geoffery C. Bower

“Early in the EHT project, we didn't know if the galaxy M87 would be a good target for our project - would we be able to detect light from the very small region near the supermassive black hole? Honma-san was confident! He came to Hawaii with his group in 2009 to carry out the definitive observations that showed M87 could be imaged. Making these observations up at the 4200m peak of Mauna Kea with Honma-san is one of my most cherished memories in the EHT. It was a time of high risk and great teamwork. Later, Honma-san built key parts of the system that allowed the ALMA array to join the EHT, and led the development of new imaging algorithms that enabled us to produce the first black hole pictures. I'm delighted that he has won the prestigious Hayashi Chushiro Prize, it is richly deserved, and I look forward to working with him on the next phases of the EHT project."
「EHTプロジェクトが始まったころ、私たちにはM87がブラックホール撮影の良いターゲットになるかどうかわかりませんでした。超巨大質量ブラックホールの近くの非常に小さな領域からの光を検出できるでしょうか?でも本間さんは自信がありました!彼は2009年に彼の研究グループと一緒にハワイに来て、M87が画像化できることを示した決定的な観測を行いました。本間さんと一緒にマウナケアの標高4200mの頂上でこれらの観測を行うことは、EHTで私の最も大切な思い出の1つです。それはリスクが高く、素晴らしいチームワークの時代でした。その後、本間さんは、アルマ望遠鏡をEHTに参加させるシステムの重要な部分を構築し、最初のブラックホール画像を作成できる新しいイメージングアルゴリズムの開発を主導しました。彼が名誉ある林忠四郎賞を受賞したことを嬉しく思いますし、それは当然のことです。EHTプロジェクトの次の段階で彼と一緒に働くことを楽しみにしています。」
ハーバード・スミソニアン宇宙物理学センター・EHT創設者 Sheperd S. Doeleman

“He got me completely fooled in the baby picture contest of the past EHTC meeting, but I will always recognize him in any occasion as the one bringing wisdom to any discussion. He’s the example to follow for our younger generations of scientists, and one of the most rock-solid anchors of the EHT Collaboration. 私たち全員があなたと一緒に働くことを誇りに思います。本受賞によって本間さんが認知されることは非常に価値があります。おめでとうございます!”
「前のEHT全体会議では、赤ちゃん写真コンテストですっかり騙されてしまいましたが、私はいつも彼のことを、どのような状況でも議論に知恵をもたらしてくれる存在だと思っています。彼は若い科学者の手本であり、EHTプロジェクトを最も堅実に支えてくれる一人です。私たち全員があなたと一緒に働くことを誇りに思います。本受賞によって本間さんが認知されることは非常に価値があります。おめでとうございます!」
アンダルシア宇宙物理学研究所  Jose L.Gomez

“Honma-san has been known to all of us for his tremendous efforts to sustain VLBI research in Japan and throughout Asia, and to promote the science that is made possible by the very high angular resolution provided by VLBI. The study of Galactic structure through the precision measurements of maser sources, and the resolving of the first shadow image of a black hole, are the culmination of the many years of research by the VLBI scientists led by Honma-san. In addition to his research, the calm demeanor and quiet leadership, which define his style, has played a great role in promoting collaboration in international teams. We are all very glad to see the prestigious recognition of the Chushiro Hayashi Prize, as earned by Honma-san.”
「日本だけでなくアジア全体でVLBI研究を維持し、VLBIの非常に高い角度分解能によって可能になる科学研究を推進するために、本間さんが多大な努力を注いでいることを、私たちはみな知っています。メーザー源の精密測定による銀河構造の研究と、ブラックホール・シャドウの初の画像化は、本間さんが牽引してきたVLBI科学者たちによる長年の研究の集大成です。彼の研究に加えて、彼のスタイルを象徴する穏やかな態度と静かなリーダーシップは、国際協力を促進する上で大きな役割を果たしてきました。私たちは本間さんが林忠四郎賞を受賞したことを大変嬉しく思います。」
東アジア天文台 所長 Paul Ho

"Congratulations for receiving the prestigious prize! We KVN members always appreciate your tremendous contribution to the Korea-Japan VLBI collaborations."
「名誉ある賞の受賞、おめでとうございます!私たちKVNメンバーは、あなたが韓国と日本のVLBI協力へ多大な貢献をしてくれることを、いつも感謝しています。」
韓国天文研究院 電波天文学部門 部門長 Kee-Tae Kim

“I knew Honma-san from his work with VERA where he was a leader in producing fundamental science on maser astronomy, but then in the EHT it was very impressive to see how he was a leader there too, contributing to both the imaging and governance directly.”
「本間さんのことは、VERAでメーザー天文学を牽引してきたリーダーとして知っていましたが、EHTでも、彼がどのようにリーダーであり、画像化とマネージメントの両方に直接貢献しているかを見ることができ、非常に印象的でした。」
JIVE/ライデン大学・EHTプロジェクトディレクター Huib Jan van Langevelde

“Mareki Honma is one of the leading VLBI specialists worldwide. The breadth of his research is impressive: from recently born stars to dying one, from Galactic structure to the surrounding of black holes at horizon scales, he has used VLBI to make fundamental contributions on a broad range of topics. Congratulations, Honma-san, for a well-deserved recognition!"
「マレキ・ホンマは世界をリードするVLBIスペシャリストの1人です。彼の研究が多岐にわたることは印象的です。最近生まれた星から死にかけている星まで、銀河系の構造からブラックホールの事象の地平面スケールまで、彼はVLBIを使用して幅広いトピックに基本的な貢献をしています。本間さん、おめでとうございます!」
メキシコ国立自治大学 Laurent R. Loinard

“I was so happy to hear the news that my friend and colleague for over a decade, Mareki Honma, has been awarded the Hayashi Prize of the ASJ. He is a most worthy recipient, and I predict many more awards will be coming to him for his continued leadership and for his contributions to astrophysics, both for their scientific importance but also for their vital contributions to data analysis techniques. Among Honma's seminal contributions was his leadership of a team, which included Akiyama, Uemura and Ikeda, that wrote a pioneering paper in 2014 on the application of the technique known as compressive sensing, or sparse sampling to the problem of obtaining the best possible images from radio interferometers. They called their method "compressive modeling." This paper, written just after the formation of the Event Horizon Telescope team predicted, with uncanny accuracy, the potential of the EHT, which was validated by the announcement of the team's result on M87 in 2019. His vision for the project was remarkably accurate. Honma's strong leadership of the VERA project enabled it to make fundamental contributions to our understanding of the structure of our Milky Way galaxy by facilitating precise measurements of the positions of water vapor masers and their distances via the classical method of annual parallax. Honma is a leader and innovator in the international arena of astrophysical research and his achievements bring great honor to his country. I greatly admire his work and am proud to be his colleague.”
「10年以上にわたって私の友人であり同僚であるマレキ・ホンマが日本天文学会林忠四郎賞を受賞したことを聞いて、とても嬉しく思います。 彼は最も素晴らしい受賞者であり、彼の継続的なリーダーシップと宇宙物理学への貢献に対して、そして科学的重要性だけでなくデータ分析技術への重要な貢献の面でも、さらに多くの賞が与えられると私は予測しています。 ホンマの重要な貢献の中には、アキヤマ、ウエムラ、イケダを含むチームのリーダーシップがあります。圧縮センシング、またはスパースサンプリングとして知られる技術で、電波干渉計のデータから一番もっともらしい画像を得る方法に関する先駆的な論文を、2014年に執筆しました。彼らはその方法を「圧縮モデリング」と呼んでいます。イベント・ホライズン・テレスコープ・チームの結成直後に書かれたこの論文は、EHTの可能性を驚くほど正確に予測しました。チームによる2019年のM87の発表では、このことが検証されました。プロジェクトに対する彼のビジョンは非常に正確でした。 ホンマは強力なリーダーシップでVERAプロジェクトを率い、古典的な年周視差の方法で水蒸気メーザーの位置と距離を正確に測定できるようにすることで、天の川銀河の構造の理解に根本的な貢献をすることができました。 ホンマは宇宙物理学研究の国際舞台において、リーダーであり革新者であります。彼の業績は彼の国に大きな名誉をもたらします。私は彼の仕事に大いに感心し、彼の同僚であることを誇りに思います。」
ハーバード・スミソニアン宇宙物理学センター James M. Moran

“Mareki Honma is in my opinion the top Japanese astronomer of his generation. The depth and breadth of his contributions to a wide range of projects has earned him world-wide recognition. In particular, he has been a pioneer in the field of astrometry, leading to the great success of VERA in mapping the Milky Way, and a creative leader in the Event Horizon Telescope, which recently produced the first image of a black hole.”
「私の意見では、マレキ・ホンマは彼の世代の日本のトップ天文学者です。幅広いプロジェクトへの彼の貢献の深さと幅によって、世界的研究者であると認識されています。特に、彼は位置天文学の分野のパイオニアであり、天の川の地図作りでVERAの大成功をもたらし、最近ブラックホールの最初の画像を撮影した Event Horizon Telescope でも創造的なリーダーでした。」
ハーバード・スミソニアン宇宙物理学センター Mark J. Reid

“I am very pleased to know that Honma san is awarded the Hayashi Chushiro Prize. His research work and achievements are a great contribution to astronomy. He deserves the award.”
「本間さんが林忠四郎賞を受賞したことをとても嬉しく思います。彼の研究と業績は天文学に大きく貢献しています。彼はこの賞に相応しい研究者です。」
中国新疆天文台 台長 Na Wang

“As an old friend of Honma-san for more than 20 years, I am so happy to join you in congratulating Dr. Honma on receiving the Hayashi Chushiro Prize. This is the best reward for Honma-san's achievements in radio astronomy. This is also the best recognition for the hard work and dedication of Mareki and generations of Japanese radio astronomers. It is also a great encouragement to all of us engaged in VLBI collaboration in East Asia over the years. Congratulations!”
「本間さんの20年以上の古くからの友人として、林忠四郎賞を受賞した本間博士を祝福します。これは、本間さんの電波天文学における功績に対する最高の報酬です。また、マレキと何世代にもわたる日本の電波天文学者の勤勉さと献身さが認められた証でもあります。長年にわたって東アジアVLBIに携わってきた私たち全員にとっても大きな励みになります。おめでとう!」
中国上海天文台 台長 Shen Zhi-Qiang

 

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英文翻訳:田崎文得