3. 結果:天の川銀河の基本尺度を正確に決定

今回の研究から、天の川銀河の基本尺度である銀河中心距離R0(太陽系から天の川銀河の中心までの距離)と、太陽系の場所での銀河回転速度Θ0を高い精度で決定することに成功しました。その結果、銀河中心の距離はR0=8.0±0.5 kpc (約26100±1600光年)、太陽系における銀河回転速度はΘ0=240±14 km/s が得られました(図5参照)。

 

図5: 今回の解析から得られた天の川銀河の基本尺度。太陽系と天の川銀河の中心までの距離26100光年と太陽系の銀河回転速度240 km/sが精密に得られた。この距離と速度から、太陽系は天の川銀河内を約2億年で1周することがわかる。

 

今回得られた銀河回転速度は1985年以来の国際天文連合の推奨値である220 km/sよりも大きな値になっています。この結果は後で述べるように天の川銀河の回転速度と質量分布に修正をせまるものになります。一方、銀河中心距離は1985年以来国際天文連合で推奨されてきた8.5 kpc(約27700光年)と誤差の範囲内でほぼ一致しています。しかし、今回の測定は三角測量をベースにした直接的な測定であり、より高精度であることが非常に重要な点です。

また、これらの基本尺度に加えて、天の川銀河の回転速度が銀河中心距離1万~5万光年の間でほぼ一定であることもわかりました(図6参照)。

 

図6: 今回の解析から得られた天の川銀河内の天体の回転速度。天体がどの場所でも240 km/s前後のほぼ一定の速度で回転していることがわかる。

 


 

4. 意義:より多くのダークマターが存在 へ  

 

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