観測天文学者として今後はどんな研究をしていく予定ですか?
大質量星誕生のメカニズムを明らかにしたいと思っています。そのために、まずは大質量星が生まれていそうな天体のカタログ作りを日本と韓国の研究者が共同で進めています。KaVAを使った観測で、主に大質量星の周りで放射されるメタノールメーザー源を探してマッピングしているところです。
KaVAで観測って、キムさんが日本へ行こうと決意した時に思い描いた夢そのものですね。韓国に電波望遠鏡ができて日本と協力しながらVLBIで活躍できるって。
子どもの頃から本を読むのが好きだったんですか?
ほとんど外に行かないで家で本を読んでいる感じでした。今も人見知りなんですけど、子どもの頃はもっと人見知りで。
学校では?
学校でも静かで、休み時間は本を読んでいました。あまりに人見知りすぎて、クラス替え初日は誰とも何にもしゃべらないで、そのまま帰ることがよくありました。
キムさんは日本語が上手で、レスポンスや間のとり方が自然ですよね。外国語で話すとき、頭の中で思考している言語はなんですか?
日本人と日本語で話す時は、日本語で考えています。日本語と韓国語は文法が似ていて、頭の中で言葉だけ置き換える感じだからラクなんです。英語の場合は、簡単なものは英語で考えますが、難しくなると韓国語で考えてから英語に変換しています。語順が逆なので、その分ちょっと反応が遅いかも。
ソウル大学→東京大学→韓国KASI→国立天文台と順調にキャリアを重ねる若手女性研究者の金美京(キム・ミキョン)さん、日韓を渡り歩く実力派科学者という印象を受けますが、海外で研究しようと思ったきっかけを教えてください。
大学卒業後の進路を考えていた時に、奨学金で日本へ行ってVLBIの勉強ができるチャンスがあり、応募したのがきっかけです。
VLBIを学ぶにはアメリカ、ヨーロッパ等の選択肢もあります。なぜ日本を選んだのですか?
ソウル出身。ソウル大学を卒業後、2005年に日本へ。東京大学大学院理学系研究科で修士、博士(理学)取得。現在は水沢VLBI観測所の特任研究員としてVERAの運用に携わりながら大質量星形成領域の電波観測・研究を行っています。 お酒はビールと辛口の日本酒が好き。休日には最近はじめたサーフィンを楽しんでいます。