距離感覚のちがいが宇宙スケール

距離感覚のちがいが宇宙スケール

マダム

距離を測るという点は共通していますが、いままで遠いところやってた身としてはいかがですか?近っ!みたいに感じませんか?

山内

距離感覚が全然わからなかったです。ふだんですね、天体までの距離が皆さんキロパーセクとかで話をなさるんですけど、私、メガパーセクだったんですよ。近いとか遠いとかの感覚が全然わかりませんでした。

マダム

同じ市内にいるか、県外にいるかっていう、そんな感じでしょうか?

山内

まあ。私がやってた天体っていうのが、だいたい10メガパーセクから60メガパーセクぐらいが多かったんですよね。修士論文を書いたときに60メガパーセクの銀河を「これすごく遠い」って言ったら、光の望遠鏡で遠いの見るのが専門だった人から「そんな近い銀河」って言われました。

マダム

はははは。

山内

赤方偏移で話をなさるような方からすれば、近傍銀河っていう感覚なんですよ。

マダム

まあ、市内やってる人と、国内やってる人と、海外やってる人みたいな?

山内

はい。だからブラックホールの近くをまわっている円盤の半径が1パーセクで「けっこう近い」つもりだったんですが、エックス線の人と話をすると、もっと近いんですよね。

マダム

なるほど。

山内

という感じで、分野が変わると自分の知ってる常識が全部わからなくなってくる。VERAに来て最初はそんな感じでした。

マダム

私が近いと思っているのは、ここでは遠いのね、でもあっちでは近いのね。それはややこしい(笑)。

山内さんにとってVERAとは

マダム

そして現在VERAで研究をされているわけですね。山内さんにとってVERAとはなんでしょうか?

山内

VERAのおかげでお仕事いただいて、VERAのおかげで結婚できて、VERAのおかげで子育てもできまして、そしてまた研究に復帰もできました。本当にVERA様様です。

マダム

VERA「様様」なんですね。

山内

はい。もう、ありがとうございます、という感じですよ。