結局、天文台に納入されたDIR-2000のメカ的な面倒を私がみることになりまして、2003年からSONYのユーザーサポートとして定期的に天文台へ来るようになったんです。じつは自宅から天文台まで片道2時間かかるんですが、天文台から電話がかかってくると、土日関係なしで対応していました。
なんとハードな(笑)。VERAも立ち上げ時期で呼び出しが多かったのでは?
そうなんです。最初のうちDIR-2000はトラブルが多くて、なかなか安定して稼働しなかったんです。それで、私のほうから「このトラブルを回避するためには、こうしてください」というお願いをさせていただいたんです。普通はユーザーさんから苦情を言われることが多いんですよ。「そんなことできません」って(笑)。
ユーザー(=お客様)とサポート(=業者)の関係ですものね。
観測できないとどうにもならないという事情があったかも知れませんが、川口先生も各観測局の方々も本当に快くやってくださってね。なんとか安定して動くようになりました。全く使い物にならないくらいの機械だったDIR-2000を、皆さんのチカラで育ててくれたんです!嬉しかったですよ。
そんな秘話があったんですね。
まさにプロジェクトXです。天文台の皆さんって「大変なんだけど、やろう!」っていう気概があるんですよね。「ああ、この人たちと一緒に仕事ができるとすごくいいなあ」という気持ちに、だんだんとなってきましてね。
うんうん。
それに加えてSONYが、DIRのサポート打ち切りを決めたんです。世の中に14台しかない。そのために人材を投入するのは企業としてキビシイんですよね。結局、2012年3月でサポートが終了することになりました。
でも天文台としては使い続けたかった。
そういう事情もあって私は、2010年にSONYを早期退職して、天文台の職員にしていただきました。
救世主じゃないですか。良かったね!天文台♡
いやいや、こちらこそ雇ってもらえて私も良かった。
そのおかげで、現在DIR、DMSが動いているんですね。